「……母さん!」
大声で叫びながら、友樹は布団からがばっと跳ね起きた。
「あれ……?」
周囲を見回し、状況を確認する。
ここは二階にある、自分の部屋だ。庭の木に止まった小鳥の鳴き声が聞こえる。カーテンの隙間から漏れた夏の朝日が目に眩しい。
「う……」
不快な感触に気づいて、友樹は股間にもぞもぞと手を伸ばした。大量の汗に混じって、白い粘汁がべったりとパンツにこびりついている。
「最悪だ……」
吐き捨てるように呟いた。
『俺、千織さんと……お前の母さんと、付き合ってるんだ』
『わたしも、好き。龍星くんのこと、とっても大事に思ってる』
ぼーっとした寝起きの頭に、龍星と千織の言葉がまざまざと蘇ってくる。
「くっ……」
やりきれない思いで、胸がいっぱいになった。いきなりあんなことを言われたから、こんなひどい夢を見たに違いない。
「いっそ、全部夢だったらいいのに……」
そんなことをぼやきながら、友樹は洗濯がてら水でも飲もうと一階の台所に向かった。
「あ、やっ……」
古びたのれんの向こうから、千織の声が聞こえる。会話ではない。明らかに艶色が混じった感じの、ひそめるような声音だ。
(母さん……?)
目を細めて、そっと中の様子を窺ってみる。
(なっ……!)
一時停止のボタンでも押されたように、全身がぴたりと止まった。
「あっ、あんっ……」
目に飛び込んできたのは龍星にスカートをまくり上げられ、台所の縁に片足を乗せた状態で下半身を弄ばれる千織の姿。
(な、何やってるんだよ、こんな朝っぱらから……)
友樹は食い入るように台所の情事を見つめた。激情で今にも我を忘れそうなのだが、視線はなぜか眼前の痴態にへばりついたまま一向に離れようとしない。
「へへ、何度見ても最高の眺めだよな、これ。千織さん、ほんと美味そうな足してるし」
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