新発明
アメリカのある大学病院の産婦人科医が、新しい機械を発明した。それは出産時の母親の痛みを父親に分けることができるという画期的な最新マシンだった。つまり、出産時の痛みを一〇〇%とすると、そのツマミの調節によって例えば三〇%を父親が肩代わりできるというようなことが可能になるのだった。医者はこれから出産に臨む夫婦に言った。
「それではまず父親側の負担を一〇%、母親側の負担を九〇%でやってみましょう」
医者は正直なところ、これでも父親が耐えられるかどうか不安だった。しかし、父親はなんともないようだった。
「では父親側の負担を三〇%に上げようと思います」
医者はツマミを回した。しかし、父親はまったく平気のようだった。
医者は続いて五〇%で試してみた。しかし、やはり父親は大丈夫だった。
結局、最後には一〇〇%父親側の負担にしてみたが、それでも父親が痛みを訴えることはなかった。おかげで母親はまったくの無痛で出産することができたのである。夫婦は大変喜んで医者に何度もお礼を言った。
数日後、その母親が退院して自宅へ帰ると、隣の家では葬式が行われていた。聞けば、先日、そこの旦那が突然烈しい腹痛を訴え、謎の悶絶死を遂げたのだという。
――『世界反米ジョーク集』(早坂隆)より――