そのまま時が止まること、数秒。
「あ、う……あぁ……」
「ふっ……ふん、ふんっ」
ベッドに横たわったまま身体をぴくん、ぴくんと震わせる希恵子に、黛はだめを押すような動きでさらに数回、まだ硬さを失わないペニスを突き込む。
「ふう……」
最後の一滴まで精を注いだことを確認すると、やっと満足したように息を吐いて、赤茶けた肉の棒を希恵子の中からずるずると引き抜いた。
「よっと」
ごろんとベッドに転がると、希恵子の身体を横向きにして背後からしがみつく。
「きゃ」
三十路前の人妻の口から、乙女のように可憐な声が漏れた。
「も、もういいでしょう? 今日はこれで」
自分の反応を恥ずかしく思いながらも、希恵子は肩越しに黛へ語りかけた。一度射精すれば男の人はそれで用が足りるはず。少なくとも、夫の和臣はいつもそうだったのだ。
「あのねえ、奥さん」
だが、この黛匡一という男は違った。
「これで終わりだなんて、そんなはずないでしょ?」
希恵子の丸いあごを指でつかむと、少しだけ凄むように睨みつける。
「こんないい身体を前にたったの一回でやめるなんて、もったいないったらありゃしない」
それにね、と言葉がつながった。
「実は、精力にはまだまだ余裕があるんですよ、私。奥さんをたっぷり抱こうと思って、この二週間溜めに溜めてきたものですから」
「そ、そんな……」
あまりに下品な黛の言い草に、希恵子はそれ以上言葉を継ぐことができなかった。
「いやー、普段なら三日と空けずにヤる人間が二週間ですからね。もうこのところムラムラが止まらなくて。正直、結構苦労しました。こんなの学生の頃以来ですよ」
明るく話す黛だが、語られた内容は聞くのに嫌気が差すほど卑しく、下劣。
「そんなわけで、今日はもう徹底的にヤりまくって、溜まっていた性欲を全部吐き出す予定でいますから、奥さんもその辺、どうぞ覚悟しておいてください」
「……」
そのあまりにも分かりやすい最後通牒に、希恵子は何も言い返すことができず、ただ困った顔で視線を下へと落とすばかりであった。
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