(うぅ……)
希恵子の顔が、のぼせたように火照った。
ストリップ、というのだろうか。こんな恥ずかしい気分にさせられたことなど、これまでの人生で一度もない。
「ほうほう」
フクロウのような声をあげてにやにやと笑いながら、黛が粘り気のある視線を希恵子の胸にまとわりつかせた。
「……ふむ」
しばらく上半身を這い回った目線が、やがて下半身へと落ちる。
「……」
希恵子が観念したようにスカートへ手を伸ばし、ブラとセットになった純白のパンティーを黛の前にさらけ出した。
「おや」
下着姿の希恵子をじろじろ視姦しながら、黛が意外そうな声を漏らす。
「失礼ですが奥さん、おいくつでしたっけ?」
「……二十八です」
「ほう。それにしては随分と綺麗な身体をしてらっしゃる。肉づきがいいのに弛んでないのは魅力ですね。肌の艶なんかも年齢の割にはかなり上等ですし」
「……そんな、ことは」
希恵子は反応に困った様子で目を下に向けた。
こんな男に身体だけを誉められたところで、嬉しくなどなるはずもない。しかもよく聞けば言葉の内容自体は微妙に無礼である。
「ふふ。ま、いいでしょう。では、先にブラから外してもらいましょうか」
黛が尊大な態度であごをしゃくり、希恵子の胸元を指した。
「……」
静かだが反論を認めない口調に押されて、希恵子が背中のホックに指を掛ける。やや屈んだ姿勢になると、柔らかな肉の塊がむにゅりと深い谷間を作った。
「っ……」
手早くブラを外すと同時に、自分の身体を抱きかかえて両胸を覆う。
無意味であることくらい、分かっていた。
むしろ黛の劣情をかき立ててしまう分、逆効果だとも思う。
(でも……)
希恵子はやはり、こうせずにはいられなかった。真面目で貞淑な人妻として譲れない意地のようなものが、隠された胸の内側で微かに仄めく。
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