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愛のすきまで交わって・11

「き、気楽になんて……」
 希恵子には、考えられるはずもなかった。
 どれだけ上辺を取り繕ってみても、今からすることは所詮、ただの不貞。
 着替える時間こそなかったが、それでも玄関先で咄嗟に結婚指輪を外したあたり、希恵子は自分でも半ば無意識のうちにそれを理解していた。
(和臣さん……)
 心の中で、夫の名を呼ぶ。
 大事な人。
 ただ一人の、愛する人。
 それを、こんな形で裏切りたくなかった。
 かけがえのない愛情を壊すような真似を、したくなかった。
 だが、それはもうかなわない。
「……ふぅ」
 気持ちを切り替えるように、希恵子が浅い息を吐く。
(大丈夫……大丈夫よ)
 中学生や高校生でもあるまいし、男に抱かれるくらい大したことではないだろう。
 どれだけ身体を奪われても、心を折られさえしなければそれでいい。
 今からしばらく人形になって、ただこの時間をやり過ごすだけ。それで、終わりだ。
「さて、と。では、ぼちぼち始めましょうか」
 希恵子の気持ちを見透かしたように、黛が声をかけた。
「とりあえず脱ぐもの脱いで、全部見せてください」
「!」
 簡潔な黛の言葉に、希恵子の肩がびくりと震える。
 覚悟は、できた。
 その、はずだった。
 なのにいざその時を迎えると、心と身体がどうしようもなく拒否反応を示してしまう。
「どうしました?」
「い、いえ、別に」
 黛の問いにそう答えると、希恵子は表情を強張らせながらぎくしゃくと両腕を上げ、清楚に着こなされたブラウスのボタンに手をかけた。
 上から順にボタンを外すと、胸元が徐々に開いていく。
 たわわに熟した乳房をしっとりと包み込んだ白いレースのブラが、服の隙間からちらちらと見え隠れした。
 はらりと、ブラウスが落ちる。


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[ 2017/12/04 11:41 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)
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