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奪われた女たち――母は、親友と――・20

          4 千織の思い

 龍星くんが、ちょっといやらしい。
 千織は最近、そんなことをよく考える。
 付き合い始めた当初は若い男の子らしい獰猛なセックスばかりだったのだが、近頃はどこで覚えたのか、まるで中年のおじさんみたいなねっとりした責め方を混ぜてくるようになった。
 今、この脱衣所でもそうだ。
「ほら、早く見せてよ、千織さん」
「う、うん……」
 千織は表情を強張らせながら両腕を上げ、清楚に着こなされたブラウスに手をかける。
 上から順にボタンを外すと、弾けそうな胸元が徐々に開いた。
 たわわに熟した乳房をしっとりと包み込んだ白いレースのブラが、服の隙間からちらちらと見え隠れする。
 はらりと、ブラウスが落ちた。
「うぅ……」
 千織の顔が、羞恥の朱に染まる。ストリップ、というのだろうか。こんな真似をさせられたことなど、当然だが今までの人生で一度もない。
「ほうほう」
 寝ぼけたフクロウのような声でにやにやと笑いながら、龍星はぎらついた男の視線を千織の胸にまとわりつかせる。
「じゃあ、次は」
 しばらく上半身を這い回った目線が、すとんと下半身に落ちた。
「もう……龍星くんったら、こんなことさせて……」
「いいじゃん。千織さん、とっても綺麗なんだし」
「っ……」
 そんな風に言われてしまうと、千織としてはもう黙るしかない。
 千織にとって、龍星の「綺麗」はほとんど殺し文句なのだ。
 求めてくる行為自体はおじさんっぽくても、その眼差しはどこか幼くて憎めない。だから、こんな恥ずかしい要求だってついつい受け入れてしまう。
「で、でも……」
 今日は反論が口をついた。
「若い子ならともかく、こんなおばさんのなんて……」
 こぼれ出たのは、いつも心の奥にわだかまっている、不安。
「やれやれ、何回言えば分かるのかな」


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[ 2017/11/03 11:54 ] 奪われた女たち 母は、親友と | TB(-) | CM(0)
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