NTR文芸館

寝取られ・寝取り・寝取らせなどをテーマに官能小説を書いています

TOP  >  愛のすきまで交わって

愛のすきまで交わって・65


「うーん……」
 煮え切らない様子で首を傾げながら、和臣は腕組みをしてさらに思案を続ける。
 確かに黛は頼りになるが、だからといっていつも頼りっぱなしが許されるわけではない。
 ましてや今は負債を抱えている状況。黛の善意に助けられて普段はさほど自覚せずに済んでいるが、本来なら決して甘えたことを口にできる立場ではないのだ。
「ぬぬ……」
 ここはやはり、自力で何とかした方がいいのだろうか。
 和臣の思考が、ぐらぐらと揺らぐ。
 ――そこに。
 ポケットの中で、マナーモードにしてある携帯電話がぶるぶるとのたうち回った。
「おっと」
 和臣がすぐ取り出して着信表示を見ると、そこには「黛さん」の文字と見慣れた番号。
「うわ……」
 あまりのタイミングのよさに変な感心を覚えながらも、和臣はとにかく電話をとる。
「はい、古沢です」
「え? 今晩ですか?」
「ええ、ええ……はい、行きます。大丈夫です。今日は残業もないので」
「はい。じゃあ『BAR SWAP』にいつもの時間で。はい、よろしくお願いします」
 誰もいない空間に向かってぺこぺこ頭を下げながら、ボタンを押して通話を切った。
「……よし」
 自然と、腹が決まる。
 せっかく神様がくれたチャンスだ。これを活かさない手はない。
「やっぱり、黛さんに聞いてみよう」
 役目を終えた携帯電話をポケットに戻した時には、和臣の思考はどうやって黛に相談を切り出すかという方向に論点が移っていた。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/02/04 11:58 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・64


 出会いは、ほんの偶然だった。
 新規開拓ということで和臣が『BAR SWAP』の扉をくぐった時、黛は既に常連としてカウンターに座り、風景の一部といった感じで店に溶け込んでいた。
「やあ、お一人ですか」
「え、ええ」
 最初は隣の客として普通に話を始めたが、徐々に打ち解け仲よくなった。
 職場での人付き合いは希薄だが、かといって一人酒が好みというわけでもない和臣のような人間にとって、酒場でしか会うことのない黛は、ほどよい距離感を保つことのできる、非常に話しやすい相手だった。
 和臣は元々酒に強いわけではない。
 下戸とまではいわないが、たまにショットバーへ行き、安いカクテルを一杯ちびちび嗜めばそれで十分という程度。
「す、すいません。僕、あまり高い酒とか飲めなくて……」
「なーに、値段なんか問題じゃないさ。要は美味しく飲めて、気持ちよく酔えるかどうかだ。いい酒の条件なんて、突き詰めればそれだけのことだよ」
 高い酒を豪勢に飲み干しながら、それでいて安酒しか飲まない自分が引け目を感じないよう上手に気配りをしてくれる黛に、和臣はすぐ憧れと尊敬の念を抱いた。
「これ、うちの妻なんです」
 話を少しでも盛り上げようと、希恵子の写真を酒の肴に持ち出したのは和臣自身。
「大学のゼミで知り合いました。妻は年下なんで、まずは僕が先に就職して、向こうの卒業を待ってから結婚しました」
「ほう、そうかい。いやはや、何というか、これは……綺麗な、奥さんだね」
「えへへ、そう思いますか? 僕が言うのもおかしいですけど、本当に美人で、しかもできた妻なんです」
 いかにも驚いたように賛辞を送る黛に、和臣は照れ臭そうにのろけを返した。
「でも、最近はなかなか思うようにいかなくて……」
「思うようにいかない?」
 思わずこぼしてしまった一言に食いついた黛に、和臣はしんみりと夫婦の悩みを話した。
 妻への愛情は昔も今も決して変わらない。だが、肝心の男性自身がまるで言うことを聞いてくれないのだ、と。
「まだ三十すぎなんですけどね、僕……」
 自嘲するようにぼやくと、和臣は仕事とそれに伴うストレスが原因だろうと語った。
 その一方で、妻の希恵子はずっと専業主婦。
「彼女はわたしも働くって言ってくれたんですけど、僕はどうしてもそれを受け入れることができなくて……古い考えだとは思うんですが……」
「いや、よく分かるよ」
「僕達には子供もいません。彼女は家事全般を手抜きせずこなしてくれていますが、それでも身体を持て余していると思います。でも、外に出てもらうのはやっぱり嫌で……」
「なるほど、なかなかに複雑な心境だな」
「……」
 ウイスキーのロックを口に含みながら頷く黛に、和臣はうつむいたまま沈黙した。
 それからも、黛とは酒場だけの付き合いが続いた。
 希恵子とのことはもちろん、仕事のこと、趣味のこと、世の中全般のこと。
 知識や経験が豊富で、会話の振り幅が恐ろしく広い黛に、和臣は事あるごとに何でも相談を持ちかけるようになった。
 負債を抱える結果になったが、投資だって元を正せば黛から聞いた話を基に始めたものだ。
「すいません、いつもつまらない話ばかりで。でも黛さんって聞き上手っていうのか、何だか包容力がある感じだから、僕もつい色々喋っちゃって……」
「いやいや、それはありがたいことだ。相談相手くらいにならいつでもなるから、何かあればまたどうぞ」
「ありがとうございます。本当に、よろしくお願いします」
 和臣にとって黛とは、心の底から信頼を寄せる、まさに絶対的な存在であった。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/02/03 11:33 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・63


          *   *   *

「どうしよう……」
 オフィスでは、和臣がまずいインスタントコーヒーをすすりながら、困り切った様子で頭を抱えていた。
「その、結婚記念日なんだけど、今年は、急に出張が入っちゃって……」
「……え?」
 昨晩希恵子に事情を説明したところ、まず返ってきたのはそんな一言。
「そ、そう。お仕事だし、仕方ない、わよね」
 口ではそう言ったものの、どう見ても落胆の色はありありだった。
 今朝和臣が家を出る時もぼんやりして、どこか上の空。いつもなら必ず玄関で直接手渡してくれる弁当を台所に置き忘れてしまう始末だ。
「でも、本当に仕方ないんだよな……」
 ぽつりと、和臣がこぼす。
 希恵子の心情は痛いほど分かるが、仕事である以上出張はやむを得なかった。当日は一人にしてしまうが、それはどうにか我慢してもらうしかないだろう。
「だけど……」
 和臣としても、出かける前に何かしておきたいところではあった。
 こんな自分についてきてくれて一生懸命尽くしてくれる妻に、何とかして、ほんの少しでも喜んでもらいたいとは、素直に思った。
「うーん……」
 あごに手を当て、目を閉じる。
「やっぱり、黛さんかなあ」
 真っ先に口をついた案は、完全な他力本願。まぶたの裏に、いかにもエネルギーの塊という感じの、色黒で精悍な顔が浮かんでくる。
「何だかいつも相談してばかりだけど……」
 情けなく苦笑しながら、和臣は黛との過去にゆっくりと思いを馳せた。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/02/02 11:47 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・62


          *   *   *

「ふ、ふっ、ふっ、ふん!」
「あ、んんっ、ああぁっ!」
「はは、どうやら奥さんの穴、すっかり私の形に変わってしまったようですね。フィット感がますます増してきましたよ、最近」
「う、んんっ! そんな、そんなこと、は、あああぁっ!」
 濡れそぼつ希恵子の女陰に、黛がいきり立つ肉棒を突き込んでいる。
 それ自体はいつもの光景だが、今日は身体の絡ませ方がちょっと複雑であった。
 ベッドに背中をつけて腰から身体を折りたたむように足を上げる、いわゆるまんぐり返しの状態で性器を剥き出しにする希恵子の太股に後ろ向きでまたがりながら、黛がスクワットでもするように上から下への抽送を続けている。
「奥さん、身体は柔らかい方ですよね?」
 始まりは、黛のそんな質問から。
「え、ええ。まあ、人並みには……」
「そうですか。ではこれからしばらくは、できるだけ多くの体位を制覇する、というテーマに挑戦してみるとしましょう」
 戸惑う希恵子にさらりと言い放った黛が記念すべき一回目のチャレンジとして選んだのが、このアクロバティックな体位であった。
「ふ、ふっ、ふぅっ、ふしゅっ!」
「ん、んん、んっ……」
 全身を押し潰すような黛の圧力をまともに受けながら、希恵子が詰まった声で呻く。
「では、とりあえず一発」
 苦しそうな希恵子に構わずそう呟くと、黛は屈伸のペースを上げた。
「ふっふっふっふっ、ふっ、ふぅっ!」
 ねじ伏せるような立て続けのスクワットから放出までを、一連の動作でスムーズにつなぐ。
「ふんっ!」
「あ、あぁ……ぁ」
 注ぎ込まれた黛の精子が、希恵子の胎内をたっぷりと満たした。
「よっこら、しょっと」
 さすがに少し疲れたのか、黛は珍しく年齢相応の中年臭い声をあげると、仰向けでベッドにごろんと寝転がる。
「ふう……」
 一服してから、ちらりと希恵子を見やった。
「どうしました? 今日はあまり乗りがよくないですね、奥さん」
 落ち着きのある低い声で問いかける。
「別に……いつも通りです」
 身体を起こし、両膝を揃えて寝かせるように座り直しながら、希恵子がそっけなく応じた。
「ほう、そうですか? 心ここにあらずというか、もう一つ集中できてない感じでしたが」
「そんなことは……ないです」
 さらなる黛の追及にそう言い返したきり、希恵子は黙ってうつむき、目を背けてしまう。
「……ふむ」
 普段とは明らかに様子が違う希恵子の姿を、黛は探りを入れるような目でじっと見つめた。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/02/01 11:48 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・61

「いっそ、全部話しちゃおうかしら」
 何の気なしにこぼした自身の言葉を、
「……」
 希恵子は少しの間、じっと吟味してみる。
 それは、あながち悪くない考えのような気がした。 
 お互い全てをぶちまけて謝り、何もかもリセットしてから、また二人でこつこつ、出会った頃のような気持ちでやり直す。
 できることなら、それが一番いいようにも思えた。
(でも……)
 すぐに、ブレーキがかかる。
 ここで断ってしまえば、これまで積み重ねてきた我慢の全てが一瞬で灰に変わってしまうというのも、また現実。
 第一、この状況は未来永劫ずっと続くわけではない。
 たった、三ヶ月。
 初めて黛に身体を許した翌日、希恵子は自分でそう考えたのだ。
 そしてその期間はもう折り返し地点を過ぎ、あとは終わりに向けて一直線というところまで進んでいる。
 今さら全部投げ出す道を選択するには、希恵子はあまりに時間と労力を割きすぎ、あまりに奥深くへ入り込み過ぎてしまった。
 ――やはり、もう引き返すことなど、できない。
「……あ」
 そう結論づけたところで、希恵子はほんの数分とはいえ、自分がすっかり立ち止まっていたことに思い至る。
 自分の心情がどうあれ、黛から呼び出されている以上、今はとにかくホテルに向かわないといけなかった。
「……行かなきゃ」
 希恵子が歩き出し、玄関に立つ。
「あ、いけない」
 はっと、気づいた。
「これはここ、と」
 左手薬指の指輪を外して靴箱の上にそっと置くと、希恵子はあたふたドアを閉め、急ぎ足で黛の元へと駆けていった。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/01/31 11:32 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)