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奪われた女たち――母は、親友と――・12

 しなやかな細い腕が、すっと襟元に伸びてきた。
「え……」
 自然、深い胸の谷間が龍星の視界にぽんと飛び込んでくる。
 まろやかな曲線を描く柔肉の双丘は今にも飛び出してきそうなほど弾力的だが、同時に少し触れただけで溶けてしまいそうな繊細さも兼ね備えていた。
「う……」
 魅惑の乳房が放つあまりの艶めかしさに、龍星はついごくりと喉を鳴らしてしまう。
「ん? どうしたの?」
「あ、いや、だ、大丈夫。少しきついけど、どうせこれはすぐ脱ぐし……あ」
 口にしたそばから、己の言葉を激しく後悔した。
 こんなの、まるでやることしか頭にない中学生みたいではないか。いくら初めてといっても獣になってはいけない。ここで千織に嫌われては、何もかもが台なしになってしまう。
「え、えっと、その……」
「ふふ、いいのよ。そのためにこうしてるんだもの」
 挙動が怪しくなる龍星をなだめるように、千織はそっと頬に手を当ててくれた。その母性に満ちた温かい笑顔は、抑えていた雄の本能を爆発させるには十分すぎるほど、十分。
「お、おばさん……」
 龍星は噛みつくような勢いで、淡桃色の口唇に顔を寄せた。
「大丈夫よ、焦らないで」
 ささやくように言うと、千織はまだ湿り気が残る茶髪をさらりとなでながら、ゆっくり唇を合わせる。
(うわ……)
 吸い込まれるような感触に、龍星の頭は一瞬でのぼせ上がった。
「んっ……」
「ん、んぐっ……」
 自然と、互いを求めるように舌を絡める。
「ふう……」
「う、ん……」
 長く濃厚な口づけの後、二人はどちらからともなく顔を離した。新月を思わせる弧を描いた細い唾液の筋が、すっと糸を引くように両者の顔をつなぐ。
「ん……」
 千織がキャミソールと、それに色を合わせたらしい黒の下着をおもむろに脱いだ。
「うわ……」
 龍星は感嘆の声をあげて、目を見開く。


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[ 2017/10/26 12:18 ] 奪われた女たち 母は、親友と | TB(-) | CM(0)
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