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プチNTR13~全ては私しだい~

 ありふれた賃貸マンションの、ささやかなリビング。
「おや、眠ってしまいましたか。舘野(たての)くん」
 正面の席に座る来島睦夫(きじまむつお)が、テーブルに突っ伏して酔いつぶれてしまった夫の佳高(よしたか)をちらりと見やった。
「本当にすいません、この人ったら。目上の方にお越しいただくなんて初めてですから、少しはしゃいでしまったのかも」
 羽織っていたカーディガンをかけてやると、私は眠る夫の心証を悪くしないように、相手をさりげなく持ち上げて言葉を返す。
「そうですか。それはどうも、恐縮です」
 来島が頭を下げると、薄くなった頭頂がぽんと視界に飛び込んできた。
 会社で人事部長を務める来島はもう五十の坂を過ぎたちんちくりんの小男で、髪はいわゆるバーコード。一見するとそう悪い人でもなさそうなのだが、いかにも小心そうな目つきと猫背気味の姿勢が、全身から漂う中年の物哀しさをいっそうはっきり際立たせている。
「どうですか? 部長さんだけでも、もう一杯。新しい瓶、お出ししますので」
 私は愛想笑いを浮かべながら、手元の温くなったビールを片付けにかかった。
『明日人事部長が家に来ることになってさ。急で悪いけど準備頼むよ、里絵(りえ)。多分、いや、間違いなく今後の出世の話だと思うしさ、大事な接待なんだ』
 昨晩突然そう言われ、急いで酒と料理を用意。ここまでは大過なく部長のお相手をしてきたわけだが、肝心の夫が大事なところでこのざまだ。ここは妻として、しっかりフォローをしておく必要があった。
「ああ、いや、結構。もう十分にいただきました」
 だが来島は私の動きを制するように手を上げると、空のグラスをそっと脇に寄せた。
「それに、奥さんにお伝えしておきたいこともありますので」
 真剣な眼差しで、テーブルに置いた手を組む。
「私に……ですか?」
 座り直して聞き返す私をまっすぐ見据えて頷くと、来島は重々しい調子で口を開いた。
「実を言いますと、舘野くんは次の人事でリストラされる可能性があります」
「……え?」
 いっぺんに血が落ちる嫌な感触が、私の顔面をさーっと走る。
「何名か候補が挙がっていて、彼はそのうちの一人です。社内の人事評価をあまり漏らすのはまずいので細かい話は省きますが、今のところかなり有力とだけは申し上げておきます」
「そ、そんな……」
 来島が何を言っているのか、私はよく理解できなかった。出世の話だという夫の言葉を今の今まで何の疑いもなく信じていたため、すぐには頭を切り替えられなかったのだ。
「この、人が……」
 だが、少しずつ事態が飲み込めてくるにつれて、私の顔は深刻な憂いを帯び始める。
 来島がわざわざ社員の家に上がり込んでまで嘘をつくとは思えない。
 となると、これはやはり夫が根本的な部分でひどい勘違いをした、ということなのだろう。
 考えてみれば、佳高には昔からそういうところがあった。
 十九歳の時に大学で知り合って十年、結婚してもうすぐ五年になるが、この一歳年上の夫は基本、目の前で起きたことを自分の都合のいいようにしか解釈しない。プラス思考といったら聞こえはいいが、それも度を越せば現実をまともに見ることもできないただの愚か者だ。
「……なぜ私に、そんな話を?」
 苛立ちと恥ずかしさが濁った泥水のように混ざり合う中で、それでも私はどうにか声を絞り出して尋ねた。
「それはもちろん、奥さんの出方しだいで舘野くんが救われるかもしれないからですよ」
「え? 私の出方……ですか?」
 冷静に答える来島を、私は訝しげに見つめた。夫を救う方法があるならぜひ協力したいが、具体的に何をすればいいものかはまるっきり見当がつかない。
「まあこちらとしては、お察しください、としか申し上げることができないんですが」
 そう言うと、来島はいきなりブラウスの胸元にじろじろと不躾な視線を絡みつかせてきた。
「っ……!」
 今までの小心そうな、だがそれゆえに節度の保たれていた態度とはうってかわった粘っこい目つきに、私は来島が隠していたどす黒い意図を否応もなく理解させられてしまう。
「そ、その……」
 思わず、両腕を交差させて胸を隠した。喉が焼けた鉄球でも飲みくだしたように熱くなり、あちこちをさまよう目線は一向に着地点を見つけることができない。
「もちろん、本当に嫌なら何もしなくて結構です。あくまでそちらから自発的に、というのが全ての大前提ですから」
 私の狼狽を見透かすように、来島は静かな口調で話を続けた。
「奥さんの判断がどうあれ、私は公平な査定に務めることをお約束しますよ。ただ……」
 もったいぶった様子で、私の顔をちらりと見やる。
「人の心はなかなかに度し難いものでね。いくら仕事なので公平にと思っても、同じ条件ならよくしてくれた人の方に気持ちが傾くんです。まあ、それが人情というやつですよね」
「くっ……!」
 悪びれもせずに勝手な理屈を語る来島を、私は刺すような目で睨んだ。
 こんなの、実質的にはただの脅迫でしかない。夫をクビにされたくなかったらお前の身体を差し出せ。この男はつまるところ、そんな卑劣な刃を私に突きつけているにすぎないのだ。
「で、でも、たかだか人事部長ですよ? そんなに強い権限があるものなんですか?」
「確かに、私が全ての決定権を持っているわけではありません。ですがそうはいってもやはり人事部長ですから、それなりに大きな影響力があるのもまた事実でしてね。誰かを強く推せばその意向は間違いなく反映されるはずです。まあもっとも、結局はそれを信じるも信じないも全て奥さんしだい、ということになるわけですが」
「っ……!」
 挑発はするりとかわされ、さらにこちらが決断を迫られる形になってしまった。人としては腐っていてもさすがにこの道のベテランということか。大学を出てから結婚までのほんの短い社会人経験しかない私では、とてもじゃないがこの男には太刀打ちできそうになかった。
「こう言っては何ですが、舘野くんはそれほど成績優秀なわけではない。ムードメーカーではあってもいわゆる内輪の盛り上げ役なので、新しい職場でいきなり力を発揮することは難しいでしょう。それにゆくゆくはお子さんもという話でしたし、ここで職を失うのは……」
 自分が完全に優位なことを知っているのだろう。来島は呑気な寝息を立てる佳高にちらりと目線を向けながら、当然のように話の主導権を握った。
「……」
 私は反論することができなかった。全てが来島の言う通りに思えたのだ。この脳天気な夫は酔った勢いで今後の家族計画をぺらぺらと話しまくっていたし、もしリストラされたら能力の面からも性格の面からも、今より好条件での再就職が困難になることは容易に想像がつく。
「……本当に……私しだいで……?」
 探るような上目遣いで、私は来島の顔を見つめた。
「はい。今なら奥さんの援護射撃が決め手になる可能性は十分にあります」
 贈り物のように優しく差し出された来島の言葉に、心がバランスの崩れたシーソーのようにぐらりと傾く。
 それは、屈辱的な申し出のはずだった。いくら夫を救うためとはいえ、こんな行為は道義上許されるものではない。だが、全てを考え合わせてみた時、私が選べる道はもう他に残されていないように思えた。
「分かり……ました」
 ぽつりと、声がこぼれる。
「よろしく……お願い、します」
 視界の隅で眠りこける佳高を見ないようにしながら、私は来島にぺこりと頭を下げた。
「そうですか。いや、ご理解いただけて助かりますよ」
 来島の顔に、その醜悪さをさらに強調するような勝ち誇った笑みが浮かぶ。
「では、さっそく始めるとしましょうか」
 笑顔のまま立ち上がった来島が、足音もなく移動して私の背後に回り込んできた。
「え? そ、その……ここで、ですか?」
「はい。実は私、さっきからもう我慢の限界でして」
 慌てて席を離れようとした私の肩を押さえつけると、左手をすっと頭に伸ばしてくる。
「ほう、さらさらの綺麗な髪だ」
「……」
 肩口まで伸びたセミロングのストレートヘアを脂ぎった手で弄ぶようになでつけられ、私は背筋にぞわっと鳥肌が立つのを感じた。
「こちらは、どうですかな?」
 耳元で囁きながらカーテンを開けるような動きで髪をかき分けると、来島はあらわになった右のうなじに軽く唇をつけ、先端を小刻みに震わせながら舌を這わせる。
「ふふ、なかなかに美味しそうですね」
 声の端に期待感をにじませながら言うと、今度は耳から首筋にかけてを大きなストロークで丹念にねぶり始めた。
「んっ……っ……」
 私は声を出さないように注意しながら、できるだけ来島の口撃をかわそうと身をよじる。
 こんな男を相手にしても感じることはないが、万が一佳高が目を覚ましたら全てが台なしになってしまう。その事態だけは何としても避けたかった。
「ふふ」
 だが来島は私の動きに合わせて髪を反対側に寄せると、左側にも同様の愛撫を施し、さらに左右の二の腕をきゅっと握りしめてきた。
「おやおや、かなり緊張されているようですね」
 マッサージでもするように上下していた手が、するりと脇の下に潜る。
「んんっ……」
 十本の指がこんもりと盛り上がった双丘をよじ登り、まろやかな曲線の全てをわしづかみにすると、私の口から吐息とも喘ぎともつかない声が漏れた。
「ふふっ」
 来島が左手で胸をこね回したまま、右手をスカートの奥へと滑り込ませる。
 太腿の内側、性器に近い部分を左右交互にさすってから、下着の真ん中あたりにつつつ、とやらしく指を這わせてきた。
「んっ、うぅんっ……」
 直接触れられてこそいないが、私の秘裂が既に潤い始めていることは十分に自覚できた。
 薄い布の上をもぞもぞ動き回る来島の指が、私には女から吐き出される淫水を浴びて生きる不気味な虫のように思えた。
「さて、今度は前からいきましょうか」
 そう言ってするりと身を翻すと、来島は私の正面にしゃがみこんだ。
「では、失礼しますよ」
 慣れた手つきでブラウスの前を開け、レースのブラをずり上げると、あらわになった乳房を瞬きもせずにしげしげと見つめる。
「ほう、やはり綺麗な形をしてらっしゃる。カップはEかF……ですか? こんなに大きさがあるのに崩れていない胸というのは、それだけで貴重なものなんですよ」
 学者のような調子でそう述べると、来島は鼻息を荒げながら、一心不乱に私の乳房をいじり始めた。外周縁を指でなぞったり下から持ち上げたり、さらには親指と人差し指で乳首を挟むようにつまみながら軽く絞ってみたりと、たっぷり柔肉の手触りを堪能する。
「……」
 来島が遊んでいる間、私は何も言わず目を逸らしていた。胸を見られているのもそうだが、使い古しの下着を人目に晒してしまったことがやたら恥ずかしく思えた。
「では、下も」
 スカートをたくし上げ、むき出しになった生足にちゅっちゅと吸いつきながら、来島は私の陰部に向かってじわじわとバーコード頭をせり上がらせてきた。
「ん、んっ……」
「ふふ」
 おぞましい感触に顔を歪める私を楽しそうに見つめると、普段用の地味なパンティーに指を掛け、もったいつけるようにゆっくり、ゆっくりと足首まで引き下ろしていく。
「っ……!」
 途中、私は思わず来島の手をはねのけてしまいそうになった。
 本能が拒否反応を示した、ということだろうか。覚悟はしているつもりでも、こんな場所でこんな男に自分の性器を見られるのはやはり抵抗があった。
「奥さんのようにちょっときつい顔立ちをした美人系の女性はね、毛深い人が多いんですよ」
 私の葛藤を知ってか知らずか、来島は軽い調子で妙なことを喋り出した。
「まあ科学的根拠は全くないただの勘みたいなものですが、結構よく当たるんです、これが。奥さんを見た瞬間、この人も多分そうだなと思ったんですが、やっぱりでした」
「そ、そんな……」
 私は身体をくねらせると、股間の黒ずみを隠すようにもじもじと太腿を上下させる。
 確かに私のアンダーヘアーは量が多いし、毛の質も固めだ。温泉なんかで他の人と比べても黒々とした広がりは明らかに大きい。別にコンプレックスというわけではないが、こう改めて他人から指摘されると、何だかちょっと居心地の悪い気分になってしまう。
「大丈夫ですよ。私は毛が濃い方が好みですから。ふふ、この蒸れ具合がたまらないですね」
 来島が割れ目に顔を近づけると、エサを確かめる犬みたいにふんふんと軽く鼻を鳴らした。
「あ、あまり嗅がないでください。恥ずかしいです」
 私はほとんど反射的にそう声をかける。
 今日は私もお付き合いということで、わずかだがビールを飲んだのだ。アルコールのせいでいくらか体臭がきつくなっているかもしれない。
「恥ずかしいだなんてとんでもない。むしろこれがいいんですよ」
 小さいながらも張りのある声で力説すると、来島は私の陰核をべろべろとなめ回し始めた。
「んっ……はぅんっ!」
 激しいが決して粗暴ではないその絶妙な力加減に、私はつい大きな声をあげてしまう。
「さあ、こちらも」
 来島は私を立たせて膝をつかせると、自分は椅子に座ってズボンのチャックを下ろした。
「……!」
 引っ張り出された一物は五十男のものとは思えないほど勇ましく、天に向かってぴんと反り立っている。
 何より目を引いたのは、そのサイズだった。
 直径にすると四センチ以上、長さも二十センチ近くはあるだろうか。まるで足の付け根からロケットでも生えているような、恐ろしい佇まいの陰茎部である。
「全部咥えてもらえればそれが一番なんですが……どうやら口には入りきりませんかね。まあ仕方ないです。奥さんに限らず、そういう人は結構いるんで」
 来島は一人で納得すると、そそり立つペニスを私の鼻先へ、インタビューのマイクみたいにぬっと突きつけてきた。
「先端だけでも口に含んでください。たっぷりと唾液をまとわりつかせる感じでよろしく」
「っ……」
 私はしばらく躊躇したが、やがて腹を決めると、来島の男性自身を両手で包むようにそっとつかんだ。ぬくもりというには熱すぎる体温が、瞬く間に掌を伝って脳髄に駆け上る。
「う、んんっ……」
 来島の指示通り、亀頭や雁首を中心に極太の長竿を少しずつなめ上げていった。
「お、おお……そう、そうです。いいですよ、奥さん……」
 早くも先走りの漏れる鈴口や、まるで毒キノコのようにぱんと張ったエラを刺激するたび、来島がとろけた表情を浮かべて気持ちよさそうに声をあげる。
「んっ……んぐっ……」
 私がひとなめするたびに来島の男根は硬度を増し、今にも破裂しそうなほどぱんぱんに膨張していった。びきびき青黒い筋の走った剛直は別に不潔というわけではなかったが、それでも全体から湧き立つむわっとしたオスの臭気は、私の鼻腔に容赦のない刺激を与えた。
「さて、では、そろそろ」
 このままでは射精してしまうとでも思ったのか、来島は私の身体を見た目に似合わぬ腕力でひょいと持ち上げると、子供を抱っこするような体勢で自分の腿へとまたがらせた。
「ちょっと、失礼して」
 もぞもぞとポケットをまさぐると、黄色のビニールに入ったコンドームを指でつまむように取り出す。サイズはもちろん、特大中の特大。
「いつも持ち歩いてるんですよ。その場で用意するといっても、このサイズはまずないので」
 どこか自慢げな来島の解説に、それはそうだろう、と私は思う。
 うちにも一応佳高のゴムはあるが、着けてもらおうとしても無駄なことはすぐ理解できた。来島の男根は太さも長さも規格外。ごく平均的な夫のそれとはあまりに桁が違いすぎた。
「いきます」
 手早く装着を済ませると、来島は私のくびれをがっちりつかんで座位での挿入を始めた。
「ちょっ、まだ……あっ」
 心の準備を整える間もないうちに、火照った肉の塊がずずず、と身体の奥に侵入してくる。
「ん、んぐっ……」
 息ができなくなるような圧迫感に、声が詰まった。
 それはまるで、身体の中心を焼けた鉄の棒で貫かれているようであった。下腹部をみっちり埋めた異物に内臓ごと押し上げられ、全てを口から吐き出してしまいそうな感覚がずんずんと私に襲いかかってくる。
「入りましたよ。根元までずっぽりです。なかなか具合いがいいですね、奥さんのアソコ」
「あ、あうっ……!」
 来島が膣内の感触を確かめるように一物をぴくぴく動かすと、それだけで私の全身は電流が流れたような強い刺激に覆われてしまった。
「う~ん……」
 私のはしたない喘ぎに反応したのか、夫が寝ぼけた声をあげてごそごそと身体を動かす。
「!」
 肝を冷やした私は、焦って来島の顔を見つめた。
「ふふ、大丈夫ですよ。これくらいで起きはしません……おや?」
 無言の哀願を軽く受け流した来島が、興味深そうに目線を下に落とす。
「かなり興奮しているようですね、奥さん。中がきゅんきゅん締まっていますよ」
「っ……!」
 来島の指摘に、私はかっと頬を赤らめた。
 それは、確かに事実だった。猛ったペニスから与えられる快感と眠る夫の隣でこんなことをしている罪悪感が相まって、私のヴァギナはかつてないほど敏感な反応を示していた。
「本来ならじっくりいきたいところですが、あまり時間もないようなので」
 残念そうにそう呟くと、来島はぐいと腰を突き上げ、私の内側をかき回しにかかった。
「ふ、ふ、ふ、ふっ」
「ん、あん、うぅん、んっ」
 本気の抽送だったが、もう私の身体が悲鳴をあげることはなかった。初めにあった違和感はほぼ消え去り、肉襞は自分でも驚くほど卑猥な動きで来島の一物にぬるぬるとまとわりつく。
「え……」
 不意に、来島の手が私の顎に伸びた。かさついた血色の悪い唇が、どんどん間合いを詰めて口元へと近づいてくる。
「っ……」
 私は咄嗟に顔を背け、来島とのキスを拒否した。
 気持ち悪い外見や口臭と加齢臭と酒臭の混ざったおっさん臭さが嫌なこともあるが、理由はそれだけではない。こんな状況で操も何もあったものではないが、それでも最後の一線だけは夫と、そして自分自身のために何としても守り通しておきたかった。
「……ほう」
 来島は少し不満そうに呟いたが、それ以上私の唇を求めてくるような真似はしなかった。
 その代わりとでもいうように両腿を持ち上げると、覆いかぶさる体勢でテーブルの上に押し倒してくる。
「では、そろそろ出させてもらうとしましょうか」
 そう言って、来島は私の頬を掌で軽く押さえつけた。テーブルに突っ伏す佳高の姿が、横を向かされた目線の先に映る。その当てつけがましい行為に私は内心怒りを覚えたが、精神とは裏腹に肉体、特に下腹部周辺はますます絶頂への欲求を高めるばかりだった。
「ふっ、ふっ、ふん、ふしゅっ」
 来島が長短のストロークを織り混ぜて私の中を蹂躙するたび、
「あっ、あんっ、あぁっ、あぁんっ」
 私は衝き上げる快感に身を委ねながら、鼻にかかった甘い媚声を来島の耳元にこぼす。
「お、おおっ、おっ、うぉおっ……つぁあっ!」
 来島のペニスがさらにむくっと膨張した次の瞬間、ほとばしる精のたぎりが、ゴム越しでもはっきり私の膣壁に伝わってきた。
「あ、あぁんっ!」
 来島の射精に合わせるように、私も激しく気をやってしまう。これまで経験したことのない強烈なオルガスムスに、頭の中がめまいでも起こしたように真っ白になった。
「ふう。よかったですよ、奥さん。今日のところはこれくらいにしておくとしましょうか」
「う、うぅ、ん……」
 満足げな来島の声を、私は朦朧とした意識の中でぼんやり、遠い波音のように聞いていた。


 掃除を終えた私は、夕食の準備に備えてテーブルを拭いていた。
「あ……」
 ふと、あの椅子が目に入る。
「う……」
 先日の来島との熱く激しい情交が、生々しい体感を伴って脳裏にまざまざと蘇ってきた。
 凶暴なまでに太くて固い来島のペニスに圧倒された、あの時間。それを思い出すだけで私の中のメスがざわざわと、物欲しげに騒ぎ始める。
「や、やだ……」
 何とふしだらなことを考えてしまったのかと、私は自分を恥じた。
 来島とのセックスはあの一回で終わり。これで夫が無事にリストラを回避されれば、あとは何食わぬ顔でこの件を墓場まで持っていけばいい。それだけの話だ。
「よし、じゃあ次は、と」
 気持ちを切り替えるように呟いて別の作業にかかろうとした、その時。
 突然、玄関の呼び鈴が鳴った。
「はーい」
 ドアを開けるとそこには、似合わないスーツで小太りの身体をくるんだ来島の姿。
「え? ぶ、部長さん? あ、あの……」
「やあ、奥さん。この前はどうも。今日は外の仕事でしてね。その帰りにちょうど近くを通りかかったものですから」
 戸惑う私を先回りするように、来島はここにやって来たわけを簡潔に説明した。
「それに例の選考も、まだ何とも判断がつかない状況ですし」
「……!」
 当たり前のように付け足された来島の一言に、私は全身が粟立つような恐怖を覚える。
「で、でも、そんな……」
「もちろん、これも奥さんの気持ちしだいですがね。もう勝負はついた、夫が他の人に負けるなんて絶対有り得ない、だから援護の必要はない、と仰るなら放置してくれて構いませんが」
 抑揚のない口調で私にそう語りかけてくる来島は、とても不快な目をしていた。
 粘着性をむき出しにして心の中で勝手に人の価値を測るような、気味の悪い目つき。
 だが、決して値踏みしているわけではなく、既に知った女の味を再確認して、その上でまた貪り食おうとしていることが手に取るように分かった。
「そういえば、今日は少し遅くなるはずですよね。舘野くんは」
「え、ええ……」
「奥さんだけの家に上がり込むのも何ですし、これは玄関先で失礼した方がいいですかね」
 目だけを笑わせながら、来島が白々しい調子で辞去を申し出る。
「構い、ません……どうぞ、上がって……ください……」
 唇を震わせながら、私は来島を家の中へと招き入れた。そのまま追い返してしまいたいのはやまやまだったが、ここでこの男を拒絶するのはあまりに無謀で、危険すぎた。
「では、お言葉に甘えて遠慮なく」
 来島が言った通りの無遠慮な態度で、ずかずかと家に上がり込んでくる。
 それにしても腹が立つのは、この男の狡猾さだった。わざわざ佳高の帰りが遅い日を狙って訪問してくるあたり、本当に今日、外で仕事をしていたのかも怪しいものだ。
「いやあ、何だか悪いですね。催促してしまったみたいで」
「いえ、そんな……」
 どうしようもない茶番に付き合いながら、私は家のあちこちを見回してチェックを重ねた。
 幸い掃除は全部済ませてあるので、特に汚い場所はない。どこを見てもまあ一応許容範囲と言える清潔は保てているだろう。
 ただ、問題はどの部屋で――。
「今日は寝室にお邪魔させてもらえませんか」
「!」
 私の思考を読み取りでもしたかのように、来島は夫婦の閨での行為を持ちかけてきた。
「そ、それは……」
 さすがに私は逡巡する。
 夫婦の寝室は私と佳高にとっての、いわば聖域なのだ。やむを得ない事情があって他の男に抱かれるとしても、この場所への侵入を許すことだけは、決してあってはならない気がした。
「この前は椅子とテーブルだったでしょ。若い人ならいざしらず、私のようなおじさんにああいうのはきつくてね。結構くるんですわ、腰や背中に」
 来島は同情を誘うような口ぶりでそう言うと、わざとらしい手つきでとんとんと腰を叩く。
「……分かり、ました……」
 ほとんど命令ともいえるその陳情に、私は歯噛みしながらも結局応じるしかなかった。
「こちら、です……」
 八畳一間の狭い寝室に入ると、干したばかりの布団を畳の上に敷いていく。
「今回も風呂は省略でいいでしょう。奥さんを存分に味わいたいし、私の味もたっぷり知ってほしいですし」
 背後でぞっとするようなことを口にする来島をよそに、私は無言を貫き通した。
 まだほんのり残るお日さまの香りが、これから汚い男と情けない女の臭気に塗り替えられてしまうのだと思うと、何だか無性に泣きたい気分になった。
「もうね、待ちきれませんでしたよ。奥さんとまたこうできるのが」
 布団を敷き終えて立ち上がった私の背中に、来島がいきなりへばりついてくる。
「ふ、ふふふ……ふぅ……」
 いきり立つような声音とは裏腹に、恋人かと勘違いするほど優しく私の服を脱がし始めた。もちろん、合間をぬって身体のあちこちに丁寧な愛撫を加えていくことも忘れない。
「さて、こちらも」
 来島がぱっと自分の服を脱ぎ捨てる。くたびれたブリーフには既に大きなテントが張られており、屹立した肉竿は外に飛び出すその時を今か今かと待ちわびているようであった。
「っ……」
 私は慌てて目を背けたが、布切れの下に隠れた肉棒の感触を思い出すだけで、早くも身体の芯がぽーっと熱くなってしまう。
「さて、今日は少し時間をかけて交わることにしましょうか。この前みたいにせっかちなのも悪くはありませんが、こんな美しい身体はやはりじっくりと楽しみたい」
 四つ足をつかされた私の上に、来島のたるんだ裸体が重なってきた。
「それにしても本当に手にフィットしますね、この肌は。しっとり柔らかく、触れば触るほど指が吸い込まれていく。最高に気持ちいいですよ」
 胸だのお尻だのをすりすりとなで回しながら、感心したように呟く。
「身体の相性というやつですかね。これでも今まで結構な数の女性を相手にしてきたんですが奥さんほどしっくりなじむ人はちょっと記憶にないな。いや、本当に素晴らしい」
「ど、どうも……」
 手放しの誉め言葉だったが、私は困ったように首を傾げた。
 おそらく来島は、これまでもこんな風に、気に入った相手に交渉を持ちかけてはその身体を奪ってきたのだろう。そうやって抱かれた多くの女性たちと比較されて一番になっても、私の心には釈然としないわだかまりが残るばかりだった。
「ふ、ふっ……」
 来島が首筋から背中にかけて、何度も口づけをしてくる。同時に、右手では秘裂の肉たぶをいじり、左手では両方の乳房を順番にこねくり回していた。
(それにしても、この人……)
 私は横目でちらりと来島の顔を見やる。
 先日も思ったことだが、来島の愛撫はその醜い見た目からは想像もつかないほどスマートに洗練されていた。ぶよついた唇や武骨な十本の指を器用に駆使して、どこかに目印でもついているのかと思うほど的確に女のいいところを刺激してくる。
 佳高はどちらかと言うとがつがつした自分本位のセックスをするタイプなので、前戯も私の意向を無視した独りよがりなものになることが多かった。
 だが、この来島は何もかもがまるで違う。
 まるで高価な芸術品でも愛でるような手つきで身体を扱われるうちに、私は今まで味わったことのない律動が胸の奥からこみ上げてくるのを感じた。
「ふふ、このほんのりとした塩っ気がたまらないですね」
 ざらついた舌で汗をなめ取られる位置が、徐々に腰から臀部の方へと下がってくる。
「きゃっ!」
 突然やってきた予想外の感覚に、私は思わず声を裏返した。
「そ、そこ、は……」
 来島がお尻の肉を押し拡げ、菊門をさらけ出したのだ。そんなところを夫でも恋人でもない男に晒すのは、当然ながら初めての経験だった。
「ほう、ここは毛がないんですね。ひくひくすぼまる様子がよく見えてかわいいですよ」
 例の学者口調でそう言うと、来島は舌先で尻の穴をちょんちょんとつつく。
「だ、だめです、そんなところ! 汚いっ……!」
「言ったでしょ。奥さんを存分に味わいたいんです。大丈夫、汚くなんかないですよ」
 私は振り返って声を荒げたが、来島はまるで意にも介さず、さらに舌を押しつけて捺印でもするようにぐりぐりと菊座を刺激してきた。
「ひ、ひぃっ!」
「ふふ、いい声ですね。でもこれだけじゃありません」
 宣言通り、中指と薬指が私の裂け目ににゅるんと滑り込んでくる。
「おお、かなり濡れてますね、奥さん」
「う、うぅんっ!」
 喜悦に満ちた来島の言葉に、私は切ない喘ぎで応えることしかできなかった。もうすっかり濡れそぼった女陰が、水気をたっぷり含んだ粘着音をくちゅくちゅと淫靡に奏でる。
「んっ、んぁっ……あ、あぁあっ!」
 軽い絶頂感が、早くも私を襲った。
 夫以外の男が相手だというのに、肉体はこんなにも浅ましく、ふしだらな快楽を貪り続けている。そんな弱い自分自身に、私は言いようのないほどの情けなさを覚えた。
「たくさん感じてくれて私も嬉しいですよ。では、そのお礼に」
 そう言って左側に身体をずらすと、来島は空いた手で私の左手首をつかみ、五本の指をべろべろと、アイスでもしゃぶるようにねぶり始めた。
 右腕一本で身体を支えながら、そっと自分の左手を見やる。
「っ……!」
 薬指にはめられた結婚指輪が来島の唾液で妙に艶のある光沢をてらてらと放っている光景を目撃した瞬間、私は救いがたい罪悪感で胸が張り裂けそうになった。
「さて、そろそろいいでしょうかね」
 ひとしきり愛の証を汚し終えると、来島が再び私の真後ろに身体を戻した。
「今日は危ない日ですか? 奥さん」
 そそり立つ肉柱を誇示するように突き出しながら、何げなく質問してくる。
「い、いいえ」
 あまりに自然なその口調につられて、私はつい正直に答えてしまった。絶対、とまでは言いきれないが、どちらかといえば確実に安全な方の日だ。
「でしたら、今回はナマで挿れさせてもらえませんか?」
 来島は赤銅色の肉塊を膣口にあてがうと、感触をなじませるように何度もぐりぐりとこすりつけてきた。
「そこまでさせてくれる人はまずいませんから、決定的なインパクトになると思いますよ」
「くっ……!」
 私は精一杯、凄むような目つきで来島を睨む。いかに女体の扱いが上手であっても、やはりこの男の本質は醜い卑怯者なのだとはっきり思い知らされた気分だった。
「もちろん無理にとは言いません。これは大変リスクのあることですから。ですが、もし了承してくださるというなら、ぜひその意思をご自身の態度で示してみてください」
 来島はすっかりおなじみの口調で、私の「自発的な」決断を促してきた。
「ぅ……」
 喉の奥から、嗚咽にも似たうめき声があがる。
 来島の下衆な意図が、嫌というほど分かりやすく伝わってきた。どこまでも女を辱めることしか考えられない男だと、私は怒りとともに半ば呆れたような気持ちを胸に抱く。
 だが、それでも、従わないわけにはいかない。
「ど、どうぞ……」
 私は右手を股間に潜らせると、人差し指と中指を使ってくぱっと秘孔を拡げてみせる。
「ふふ。物分かりのいい女性は好きですよ、私」
 舌なめずりが聞こえてきそうな声で言うと、来島はすぐさま猛った一物で開いた穴を埋めにかかった。
「う、うぅんっ……」
 熱い塊がずぶずぶと胎内を突き進んでくるだけで、私は悩ましく首を左右に振ってしまう。
「ほう、もうとろとろですな」
 愉悦に満ちた顔で呟くと、来島はゆっくり、女のぬめりを楽しむように抜き差しを始めた。
「ふっ、はっ、ふぅ、ふしゅっ」
「あ、あんっ、あぁっ、あぁんっ」
 ぬちゃぬちゃと粘り気のある水音に、汗ばんだ男女の荒い息遣いが重なる。
 初めのうちは時々鼻をつく来島の酸っぱい体臭に辟易したが、もはやそれも気にならない。
 佳高とは比較にならないほどたくましい男根からぷんと漂う男の香りと、自分の放つ湿ったメスの臭いが混ざり合って、狭い寝室はむせ返るような熱気にあふれていた。
「暑いですか?」
「え、ええ……少し」
「そうですか。でもまあ、ちょっと我慢してください。お互いに汗をかきながら抱き合うのが興奮するんで。それに……」
 そこで言葉を切ると、来島が後ろから私の頭にそっと手を乗せてくる。
「その方が里絵さんの感度もずっとよくなるでしょうから」
「は、はい……」
 来島の思いやりはずいぶんと自分勝手なものだったが、私は小娘のようにしおらしく頷いてしまった。普通に下の名前を呼ばれたが、なぜかそれもすんなりと受け入れてしまう。
「実は、里絵さんのことはずっと目をつけていたんですよ、私」
 じっくり練り上げるようなピストンを続けながら、来島が昔を振り返るように喋り出した。
「え?」
 私は驚いた顔で聞き返す。この男と直接会ったのは先日、この家でが初めてのはずだ。
「舘野くんはね、会社の机に写真を飾っているんですよ。夫婦で仲よく写っているやつを」
 それを聞いて、私もなるほどと合点がいく。
 その話は前に夫から聞いたことがあった。私は恥ずかしいからやめてくれと言ったのだが、どうあっても奥さん自慢をしたいらしい佳高が頑として聞き入れなかったのだ。
「用があって彼の部署に行った時、偶然それを目にしましてね。正直、ぐっと来ました。折があればぜひ、とね。もっともその時は、まさかこうも都合よくことが運んでくれるとは夢にも思いませんでしたけど。ある意味、舘野くんには感謝しないといけま……ああ、そうだ」
 思い出と佳高への当てこすりを淡々と語っていた来島が、何か思いついたようにぽんと手を叩くと、挿入を外さぬように注意しながら枕元に脱ぎ捨てられたズボンへと近づいた。
「えー、と……」
 ポケットから取り出したスマートフォンをいじくると、誰かに電話をかけ始める。
「ああ、舘野くんか。お疲れさま。今、大丈夫かい?」
「!!」
 来島の口から出てきた名前を聞いた瞬間、私は大げさでなく心臓が止まりそうになった。
 ――ばれては、いけない――
 その一心で口をふさぎ、息を潜めながら来島と夫の会話に意識を集中させる。
「いや、実はこの前、君の家に忘れ物をしてしまったみたいで困っているんだよ。それでだ、ちょっと今、奥さんに家の中を確かめてもらうことはできないだろうか?」
 しゃあしゃあと夫を騙しながら、来島は相変わらず私の中をねちっこくかき混ぜ続けた。
「っ……んっ……うぅ……」
 口を抑える手の隙間から喘ぎの声音がこぼれ落ちるたび、私はびくびくと怯えながら何度も後ろを振り返ってしまう。
「おお、そうか、助かるよ。でだ、これ以上君の仕事を邪魔するのも悪いし、結果は奥さんが直接私へ連絡するように伝えてくれんかね。幸い私は今、出先なもんでね。見つかるようなら帰りに回収したいと思うんだが……おお、そうかそうか。いやあ、ありがとう。恩に着るよ」
 わざとらしい謝意をぺらぺら述べると、来島は得意げな笑みを浮かべて電話を切った。
 ほどなく、部屋の隅に置かれた小さな文机の上で、私のスマートフォンがぶぶぶと震える。
「ほら、さっさと出てください」
 来島がぱんぱんとお尻を突いて、せっつくように私を這わせた。
「も、もしもし……」
 来島に貫かれたまま、犬のような四つん這いの格好で夫と話し始める。
「え、ええ……部長さんね……忘れ物? ど、どうだったかしら……」
 たどたどしくも何とか会話を続ける私を後ろから抱き起こすと、来島は布団の上に仰向けで転がり、前を向いた騎乗位に体勢を整え直した。
「困って、いるの? そ、そう……ならもうちょっと、しっかり……う、うぅんっ!」
 音が出ないギリギリの強さで突き上げられ、私は思わず声を詰まらせてしまう。
「え、ええ、大丈夫。ちょっと、喉が引っかかって……」
 咳払いをして取り繕うと、私は意地の悪い顔でにやつく来島を上から思いきり睨みつけた。
 だがそんな私の態度は完全に逆効果だったようで、来島は楽しげな薄笑いを浮かべながら、ますます図に乗ったように両胸をわしづかみにしながらの抽送を続ける。
「え、ええ……直接、部長さんにね……う、うんっ……え? だ、大丈夫よ。本当に、大丈夫だから。あっ……もしかしたら、で、電波が、悪いのかも……う、うんっ、じゃあ、ね……」
 私が通話を終えると、来島はすかさず膣全体を撹拌するようにぐりぐりと腰を回してきた。
「いやいや、スリル満点でしたね。私も興奮しましたがこっちもほら、どろどろです。こんな状況で感じまくってしまうなんて、里絵さんもなかなか変態なんです、ねっ」
「あぁっ! んぁあっ!」
 言葉と身体の両面から同時に責められ、私は盛りのついた獣のような声をあげてしまう。
 そんなこと、わざわざ来島に言ってもらうまでもなかった。
 どれだけ心が認めたくなくても、身体は正直すぎるほど正直に背徳感という名のスパイスを堪能している。こんな淫乱な女、変態以外に何と呼べばいいというのか。
「……そろそろ、頃合いだな」
 口端を上げてにやっと笑うと、来島は上半身を起こしてぎゅっと私を抱きしめてきた。
「うっ、うぅん!」
 そのまま背中から布団に倒され、全身をがっちりホールドされる体勢になる。
「ふっ、ふぅっ、ふんっ、ふしゅっ!」
 来島がスパートをかけるように体重を乗せ、ピストンを早めた。子宮の入口をノックされるたびに私の肉壷は甘蜜にあふれ、痺れるような衝動が津波のごとく全身に押し寄せてくる。
「そら、このままイくぞ!」
「んぁっ! い、いや、中はっ、なか、はぁっ!」
 人が変わったように荒っぽい声で叫ぶ来島に、私は首を振って必死の抵抗を試みた。
 何としても、拒否しなければならなかった。
 来島を跳ね飛ばしてでも己の子宮を守り通す。今の私は間違いなく、そうしないといけない状況に置かれているはずだった。
 その、はずだったのだ。
 ――なのに、私は。
「んっ! あっ! んあっ! あぁああっ!」
 気がつけば淫猥な喘ぎ声を垂れ流しにしながら、両手両足を絡めてしっかりと来島の身体にしがみついていた。
 自分を制御するすべなど、もはやどこにもなかった。
 ただ来島に組み伏せられ、あらゆる判断力をどこかに吹き飛ばされたようにひいひいメスのいななきをあげる。そんなことしかできない哀れな女に、私は成り果ててしまっていた。
「ほら、たっぷりと中に出してやるぞっ! 全部受け止めろっ!……つぁあっ!」
 ホースから放たれたような大量の精液が、ぶしゅっと音を立てて私の胎を満たす。
「あっ、ああああああっ!」
 凄まじく強烈な、意識が遠のくほどのアクメに身震いしながら、私はなおも来島のペニスを離さぬようにきゅうっと絞り続けた。
「ふう……」
 絶頂の余韻が残る熱っぽい息を吐きながら、来島が乾いた唇を私の顔に近づけてくる。
「ん……」
 最後の一線を踏みにじるその求めにも、私は何も言わず諾々と従うしかない。
「さあ、このまま抜かずにもう一発だ。いいな? 里絵」
「……はい……」
 来島と舌を絡ませ、ぬたついた唾液を交換しながら、私は自分が終わりなき悦楽の渦に呑み込まれていくのを感じていた。
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[ 2017/03/31 11:10 ] プチNTR | TB(-) | CM(0)
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