* * *
口淫は、なおも続いていた。
「ん、んっ、んんっ……」
黒光りした黛の一物が希恵子の口にずぶずぶと埋まる。
「そういえば、かなり上手になりましたね、奥さんのフェラチオ。初めの頃、噛まれるんじゃないかとはらはらしていたのが嘘のようです」
にやにやと嫌味ったらしく笑いながら、黛がそう冗談めかした。
「……」
恥ずかしいのか腹立たしいのか、希恵子は無反応のまま淡々と奉仕に勤しむ。
「それに……」
不意に右腕を伸ばすと、黛は希恵子の左手を軽く持ち上げ、片腕だけで万歳をさせた。
「今日は初めてこれがついてますからね。いっそう燃えてきます」
「!」
上目遣いに自分の手を見た希恵子の顔から、さっと血の気が引く。
目に飛び込んできたのは、左手薬指から放たれる、くぐもった金属の光。
「は、外させて! 外させてください!」
希恵子は黛のペニスを吐き出すと、焦りもあらわに大声で叫んだ。
油断だった。
ホテルに呼ばれる時は必ず外してから出掛けていたのだが、今日は自宅ということもあって指輪のことを完全に失念していた。
「お願いです! お願いですから、これは!」
「……駄目です」
哀願する希恵子の姿を冷然と見下ろしながら、黛が静かに宣告した。
「言ったでしょ、いっそう燃えてくるって。もしかして奥さん、私を興奮させるためにわざと指輪を外さなかったんじゃないですか?」
そう続けて希恵子をなぶる黛の姿は楽しげで、どこか愉悦に満ちているようですらある。
「そ、そんな! そんなこと! お願いですから、外させて!」
「ほら、さっさと咥えてください。お口が留守になっていますよ」
すがりつく希恵子にあっさり言い放つと、黛は唇にぐりぐりと一物を押しつけた。
「……」
観念したように目を伏せた希恵子が、再び黛のペニスを口へと含む。
「ふふ」
希恵子がおとなしくなったことを確認すると、黛はつかんだ左手を自分の口元に寄せ、指を一本一本丹念にしゃぶり始めた。
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