「和臣くんとは、ごぶさたなんですか?」
「っ……」
気恥ずかしそうにそっぽを向いて、希恵子が質問を無視する。こんな男に夫婦の事情など、何があっても教えたくなかった。
だが、黛に引き下がる気配はない。
「そうなんでしょ? どのくらいしてないんです?」
口調はあくまで慇懃だったが、そこは絶対的に有利な立場からの発言。威圧の空気が生じることは、どうしたって避けられなかった。
「も、もう、三年ほど……」
恥じらいに満ちた希恵子の告白が、つかえた喉の奥からずるずると引きずり出される。
「へえ、三年ですか。それは長い。でもそれ以前は頻繁だったのでしょう?」
何せこの身体ですから、と黛が言葉を足した。
「元々、週に一日あるかないかで……」
希恵子は補足の部分を意図的に聞き流して応じる。
「おやおや、それはもったいない。だったら、溜めておいてその一日に何度も?」
奥をかき回すように腰を動かしながら、黛がさらに質問を重ねた。
「い、いいえ、それも……」
希恵子が言いにくそうに、小さくかぶりを振る。
「では、一度きりで?」
「……」
驚いたように口をすぼめる黛に対し、希恵子はただ視線を逸らすしかなかった。
「なるほど、それはますますもったいないですね」
いかにも残念そうな、しかし全く心のない声で呟くと、黛が細かく腰を振動させる。
入口を何度も往復しながら、徐々に深部へ。
まるで歯磨きでもするような動作で、希恵子の内部をまんべんなく貫き通していった。
(こ、こんな、の……)
和臣とは、何もかもがまるで違っていた。
大きさや硬さ、力加減に緩急、そして何より快感のツボを的確にこすられる感触。夫以外の男を知らない希恵子にとって、それらの全てが未知との遭遇であった。
「そういえば以前、和臣くんとサウナをご一緒したことがありますが、かわいいというのか、男として残念というのか……正直、あっちの方はいかにも弱そうでしたな」
「なっ!」
優越感まる出しに夫をせせら笑う黛を、希恵子が鋭い目で睨みつける。
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