(すごい……まだ、こんなに……)
なおも衰えない硬さと、さらに濃くなる男の味。際限なくあふれ出すオスのエネルギーが、千織の火照った肉体をいっそう芳潤なものへと変える。
(やっぱりわたし、もう……)
離れられない。
千織は半ば本能的に、そう思う。
友樹と二人でも、わたしは十分に幸せ。
長い間、ずっとそう考えて生きてきた。少なくとも龍星と再会するまでは、そのことに何の疑問も抱かずにいた。
でも、それは違ったのだ。
龍星と過ごす日々は、息子と二人では決して味わえない悦びにあふれている。
もちろん友樹の母であることはやめられないし、やめるつもりもない。だが、母親としての顔だけでこのまま一生を終えていくには、自分はあまりに満たされていなかった。
男の力で組み伏せられ、固い肉棒に貫かれるそのたびに、長く持て余してきた肉体は甘美な陶酔を覚え、欲望を押し込めてきた精神にはとろけるような官能が渦巻いた。
思いがけない、時にはほとんど性処理の道具みたいな扱いを受けてもなおはしたないメスの顔でよがり喘いでしまうほどに、自分は龍星の剛直を渇望していたのだ。
「どれ」
貪られる己の分身を口からゆっくり抜き出すと、
「……よっと」
龍星は不意に千織を抱き上げ、バスタブのへりに腰を下ろさせた。
「な、何? どうしたの?」
きょとんとする千織の頬にちゅっと一つキスをすると、
「まーま、おっぱい」
龍星はまるで赤ちゃんのような仕草で千織の乳房にむしゃぶりついてくる。
「あ、あらあら。甘えんぼさんねー」
突然のことに驚きながらも、千織は咄嗟に赤ちゃんをあやす母親を演じた。優しい手つきで龍星を膝に乗せると、母乳を与える仕草でそっと左乳を差し出してやる。
(ど、どうしたのかしら、急に……)
確かに最近の龍星は甘えてくることも多いが、それはあくまで普段の話だ。こうして身体を交わらせている時に幼さを見せてきたことは一度もない。
(やっぱり、母親が恋しいのかしら……)
龍星の生い立ちは千織も聞いている。あるいは自分との関係が安定したことで、心の飢えた部分が剥き出しになってきたのかもしれない。
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