NTR文芸館

寝取られ・寝取り・寝取らせなどをテーマに官能小説を書いています

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愛のすきまで交わって・90


          *   *   *

 和臣は今日も狭いデスクに陣取って、一生懸命自分の仕事をこなしている。
「嘘、みたいだ……」
 口からこぼれたのは、もう何度目かも分からない、そんな一言。
 とにかく、黛の話は衝撃だった。
 五百万の借金を、ほとんど返しもしないうちにチャラにしてくれるなど、どう考えても有り得ないような申し出である。
「投資で自分でも信じがたいほどの儲けが出てね。幸運のおすそ分けだよ」
「別に君だけを特別扱いするわけじゃない。他の友人知人にも何らかの贈り物はしていこうと思っている。幸運を独り占めし過ぎると逆に不幸になる気がするんでね」
「そんなわけだから、ここはどうか私を助けると思って、頼む」
 黛はそんな内容の言葉を、自慢するでもなく、恩を着せるでもなく、ただ当たり前のように淡々と語った。
「実はこの件も絡んでね、これからはかなり忙しくなりそうなんだ。正直、電話に出ることもままならないと思う。当然あの店にも行けなくなるだろう。君との時間を失うのは残念だが、今回のことはこれまでの友情に対する私からの感謝とも考えてほしい」
 別れ際、黛はそんなことも言っていた。
「感謝するのはどう考えてもこっちなんだけど……」
 和臣が苦笑しながら、ぽりぽりと頭をかく。
 それでも、とにかく黛が自分との時間を惜しんでくれたのは嬉しかった。人間認めて欲しい人に認めてもらえるのは、とても幸せなことだ。
「でも、残念だなあ……」
 ぽつりと、こぼした。
 おそらく、もう会えない。
 今後の展望を語った黛のいつも以上に引き締まった精悍な面構えを思い出し、和臣は自然とそんな確信を深める。
「だけど、それはそれで、いいこと……なのかな」
 明るい声で、呟いてみた。
 いつまでも黛に頼ってばかりはいられない。
 借金の件が解決した今、これからは自分自身の力で希恵子と二人、しっかり生きていかねばならないのだ。
 過去を振り返って悲しむのではなく、今回のことを心機一転のチャンスと捉えて前に進む。 その方がよほど建設的だし、黛だって喜んでくれることだろう。


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[ 2018/03/01 11:37 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・89

「まあ、惜しいといえば惜しい女だが……」
 残念そうな声で、小さく漏らす。
 黛がたった一人の女にこうも入れ込んだのは、もしかしたら初めてかもしれなかった。
 女には不自由していないが、顔や身体、さらには声や細やかな仕草に至るまで、希恵子ほど性の欲求をかき立ててくれる相手は他にいない。
「でも、だからこそ、だな」
 ぼそりと、踏ん切りをつけるように呟く。
 惜しいからこそ、これ以上は駄目なのだ。
 これ以上やると希恵子は完全に「願い下げ」の女になり下がってしまうだろう。
 少しばかり未練があるからといってだらだらと関係を持ち続ければ、すぐに気持ちは冷えてしまい、欲望は夢から覚めたように萎える。
 たかだかゲームとはいえ、この関係は自分の手で作り上げた、一つの作品。
 自ら造り上げた砂の城を、自分の足で蹴り壊してしまうような真似をするのは、黛としてもやはり忍びなく思えた。
 希恵子に対して、バランスを崩さない範囲でやりたいことはひと通りやった。
 ならば、あとは予定通り事を進めた方がさっぱりするだろう。
 そう、世の中は何事も引き際が肝心なのだ。投資も、そして――ゲームも。
「それにしても……」
 黛が助手席に無造作な状態で放り出されている五枚のDVDをちらりと見やった。
 中身はもちろん、希恵子との情事。
 金にあかせて買い漁った高性能パソコンと編集ソフトを駆使して完成させた、黛匡一渾身の力作である。
 なぜいつも近場のホテルで同じ部屋なのか。
 そんなのは長い時間部屋を押さえて撮影の環境を整えるために決まっていた。
 ついでに言うなら、自宅の中をうろついたのは小型のカメラを設置するため。まさか本気であんな安普請のお宅探訪などするはずもない。
「さてさて……」
 黛は思案を始めた。
 きらきらと無機質に光る、五枚のディスク。
 いつものように棚に並べ、コレクションとして楽しむことは確定だが、果たしてそれだけでいいものだろうか。
 ネットに上げるのはあまり趣味じゃないが、一つの手段としてはありだろう。
 記念品として希恵子に贈呈するのも悪くないように思える。
 だが、それならいっそのこと和臣に送りつけてやった方が、展開としては面白くなるのではないだろうか。
「うーむ……」
 このスリルと快楽に満ちたゲームに、どんなエンディングを用意するか。
 黛の予定は現在のところ、全くの白紙である。


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[ 2018/02/28 11:28 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・88

「和臣くんは消費者金融から五百万ほど借金をしています」
「……え?」
 この時点で希恵子は既に黛の投じた針に引っ掛かり、決して逃れることのできない状態へと追い込まれていたのだ。
 のんびり垂らした釣り糸に掛かったのは、想像以上の大魚。
 そして、一度釣り上げられた魚が元の場所に帰ることは、もうない。
「悪くない三ヶ月だったな」
 抑え切れない笑みが、黛の口からこぼれる。
 今回の件は黛にとってスリリングで背徳感に満ちた、それこそ投資などよりよほど面白い、最高のゲームとなった。
 和臣の転がり方が予想より激しかったために出費は少しかさんだが、それでも後悔はない。五百万くらいなら黛には痛くも痒くもないし、希恵子と過ごしたこの濃密で淫靡な三ヶ月にはそれ以上の価値を十分見出すことができた。
「だが……」
 それも、今日までのこと。
 車を走らせながら、黛は瞬時に頭を切り替える。
 これ以上は駄目だと、そう思っていた。
 もちろん和臣にばれると厄介だというのはあったが、それより何より、希恵子が自分の物になり過ぎてしまうことが、黛には許せなかった。
 まるで娼婦のように媚を売ってくる女。
 自分から積極的に男を求め、腰を振りまくる女。
 恥じらいも何もなく、ただ性の快楽に溺れるだけの女。
 そのどれもが、黛にとっては単なる「願い下げ」の女でしかない。
 だが、古沢希恵子という女は、違った。
 不貞の相手に嫌悪感を抱き、心ではあくまでも夫への貞操を守ろうとする。身体がどれだけふしだらに疼いても、自ら男を咥え込んで快楽に耽溺することは頑として受け付けない。
 希恵子がそういう潔癖な気性の持ち主だったからこそ、黛はこのゲームを期限一杯、存分に満喫することができたのだ。
 逆に言えば、そこが崩れるのだとしたら、もう古沢希恵子という女にもう用はない。
 兆しは、既に現れていた。
『んっ! んんっ! き、きて! 匡一さん! きてええぇっ!』
『あぁんっ! 匡一さんの、オチンチンが、好きぃっ! 出して! 中に、出してえぇっ!』
 これまで、根本的な部分では決して屈することのなかった希恵子の精神が、性的興奮の波に呑み込まれた、あの日。
 変化は、歴然であった。


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[ 2018/02/27 11:53 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・87

          終

 三ヶ月が過ぎて、今日はいよいよ、約束の日。
「ま、こんなもんだろう」
 和臣の勤める会社への訪問を終えた黛が、満足げな表情で車を走らせている。
 和臣への用件は、当初希恵子と約束した通り、借金は返済不要になったと伝えてやること。
「あ、ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
 和臣はぼろぼろ涙を流しながら、地面にぶつけるのではないかと思うほどに深々と、何度も何度も頭を下げた。
「……おめでたい奴だな、本当に」
 黛の口から、思わず本音が漏れる。
「まあ、騙される人間なんてのは総じてあんなものか」
 言葉を続けて、くっくと小さく、ほくそ笑んだ。
 黛からすれば、和臣と出会ってからここに至るまでの全てが、ちょっとしたゲームのような感覚でしかなかった。
 まずは和臣に投資の成功話を語り、小遣い稼ぎ程度なら簡単と暗に匂わせる。
 もちろん実際には連戦連勝など有り得ないが、黛自身の収支は圧倒的にプラスなのだから、別に嘘をついたことにはならない。
 そして最低限の知識とノウハウを教え込んだところで、ここから先どうするかは本人次第、ただ結果はどうなっても自己責任とだけ伝えて一旦距離を置いた。
 あとは和臣が墓穴を掘るのをじっくりと待って、マイナスが増えてきたところでさりげなく相談に乗ればチェックメイト。
 それは言わば、気楽な釣りのようなものであった。
 首尾よく事が運んで上玉の人妻が手に入ればそれでよし。目論見が外れたところでせいぜい魚を一匹ばらした程度の話だ。
 もっとも、黛には最初から自信があった。
 一見伸るか反るかのような話ではあったが、和臣の言動を観察した限り、これは黛にとって分のいい賭けに思えた。もっと言えば、どう考えても有利な結論しか出てこなかった。
 果たして黛の勘は的中し、和臣はみるみるうちに身を持ち崩していった。
「わたくし、和臣くんの友人で黛匡一と申します」
「あ……主人がいつもお世話になっております」
 希恵子と初めて顔を合わせた瞬間の興奮が、黛の胸中にまざまざと蘇る。
 平静を装ってはいるが、その実不安な内心を隠し切れずに表情を固くしているその様子は、写真以上の美貌と相まって黛の加虐心を一気に煽った。


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[ 2018/02/26 11:52 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・86

「ほっ、と」
 気合いを入れるようにひと声かけると、両腕に希恵子の太股を抱える。
「さ、次はこの格好だ」
 完成したのは、対面座位のスタイル。
「時間がもったいないからな。どんどんいくぞ……そらっ!」
「んっ、んんーっ!」
 黛の一物に全身の重さを乗せられ、希恵子がのけぞるように背中を反らした。
「ふん、またイッたか。すっかりいやらしい女になってしまったな、希恵子は」
 嘲るような口調で、黛が言い放つ。
「ん、ん……そん、な……」
 必死に何か言い返そうとする希恵子だが、溶けていく意識の中でまともな言葉を紡ぐことは到底かなわない。
「ふふ」
 勝ち誇ったように小さく笑うと、黛は腕に力を入れてさらに強いピストンを始めた。
「んっ、あっ、あぁっ、ああぁっ!」
 希恵子が、ほとんど条件反射のように切ない喘ぎ声を絞り出す。
 また、中に出されてしまう。
 また、イかされてしまう。
 また、気持ちよくされてしまう。
(わたし……わた、し……)
 もう、止まらない。
「あっ、あんっ、あぅんっ、あっあっあっあっあ!」
 容赦なくずんずん突き上げてくる黛の腰に両足を、そして首には両腕を絡みつかせながら、希恵子は何かを求めるように嬌声を奏で、何度も小刻みに身体を揺らした。
「……」
 そんな希恵子の様子をじっと観察していた黛が、不意に腰の動きを早める。
「ふ、ふっ、ふん、ふんっ!」
 希恵子の尻肉をがっしとわしづかみにすると、まるでオナホールでも使っているかのように粗雑で乱暴な出し入れをずぼずぼと繰り返した。
「ほら、誰の何が好きなんだ! どうしてほしい! 言ってみろ、希恵子!」
 荒々しい声で、黛が質問する。
「あぁんっ! 匡一さんの、オチンチンが、好きぃっ! 出して! 中に、出してえぇっ!」
 希恵子が、ずんずんと腰を上下させながら答えた。
「いいだろう! またたっぷり出してやるぞ!……つぁっ!」
 黛が怒涛の勢いでフィニッシュまで持ち込む。
「ん、んあぁっ、んんっ、あああああーーーっ!」
 同時に、希恵子の膣が黛の全部を吸い尽くそうとするようにぎゅうっと締まった。
 何秒かが、過ぎて。
「ふう……」
「ん、んん……」
 頂点に達した男と女の興奮が、徐々に緩やかな倦怠へと変わる。
「……」
 オーガズムにひくつく希恵子のヴァギナと、射精を終えてもなお屹立する自分のペニス。
 その隙間からどろりとこぼれた白濁を、黛は怖いほどに静かな感情のない目で、ただ黙って見つめていた。


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[ 2018/02/25 12:06 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)