「ふむ……」
だが、いくらやっても黛の反応は冷ややかだった。
「やれやれ、これじゃあいつまで経っても終わりそうにないですね」
呆れたような調子で言い放つと、何ともつまらなそうな顔でぴくりと小鼻を動かす。
「え、えぇ?」
希恵子は思わず声をあげ、黛を正面から見据えた。
「動きが遅いし、一本調子なんでね。刺激不足です。もっと本気でイかせてください」
訴えるような希恵子の視線など意にも介さず、黛はあっさりそう言い捨てる。
「そ、そんな……これ以上なんて、どうすれば……」
希恵子のグラインドが徐々に減速して、やがて電池が切れたようにぴたりと止まった。
「……まあ、奥さんくらいの経験値なら最初はこんなもんですかね」
黛は仕方なさそうに身体を起こすと、希恵子の上半身を胸の中に抱き寄せる。
「むんっ」
脇から腕を回して胴体に巻きつけると、挟み込むようにぎゅっと強く締めつけた。
「きゃっ!」
希恵子が大きな声を出した。慣れない抱かれ方をされたせいか、これまでとはかなり感触が違う。
「さ、これでどうです? 私も動くんで、合わせてください」
「ん、あ……は、はい」
上半身をがっちりホールドしたままずんずん突き上げてくる黛に、希恵子はやっとそれだけ答えてまた腰を振り始めた。
「ふふ、おっぱいやお尻はもちろんですが、背中もすべすべで気持ちいいですね、奥さんは。あと首筋のこの匂い、凄く好きです。嗅いでいるだけで何だかムラムラしてきます」
希恵子の耳元で囁きながら、黛がエサをもらった犬みたいにくんくんと鼻を鳴らす。
「や、やだっ……」
黛を押しのけようと、希恵子が浮かせていた腕に力を入れた。
「おっと」
しかし黛はすぐさま、挿入が外れないぎりぎりの高さまで希恵子を持ち上げると、
「ふんっ!」
下ろすと同時に、屹立したペニスを奥の奥まで力一杯突き込んでみせた。
「ああああああっ!」
希恵子が首をぶんぶんと横に振って叫ぶ。電気ショックでも受けたような衝撃に、頭の奥がちりちりと焼けるように痺れた。
「ふふ、今のは少し効きましたかね。さ、続けますよ」
意地の悪い笑みを頬にたたえながら、黛が希恵子の大きな尻をがっしとつかんでさらに強い抽送を始める。
「んっ、んんっ!」
すると、今のひと突きでスイッチが入ったように、希恵子の動きが急に滑らかになった。
「あ、あっ、うっ、んぁっ!」
上下運動は時間が経つにつれて勢いをつけ、ついには乳房がちぎれそうなほど揺れるまでに加速していく。
恥もある。
怒りだって、決して消えはしない。
だが、希恵子の中に蠢くメスの欲望は、今やそれを遥かに凌駕する勢いで増殖していた。
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