「あー、もしかして小便、したくなっちまった?」
咲野子の異変を目ざとく察知した露木が、いい遊び道具を見つけた悪ガキのようにぎらりと両眼を光らせる。
「おいおい、しょうがねえなあ。いくら俺の指導力が高いからって……あ、そうだ」
何か名案でも思いついたようにわざとらしく手を叩くと、怖気が走るような顔でにんまりとほくそ笑んでみせた。
「おい、お前は机の上にM字開脚でしゃがめ」
ぞんざいな調子で咲野子にそう命令したかと思うと、
「あとそちらの参観者の方、どちらかにお手伝いをしていただきたいんですが……ああ、もう喋ってもいいですよ」
今度は急に口調を変え、丁寧な態度で雅文と真穂に声をかける。
「い、一体何をするんですか?」
「もちろん、今からこのどMのメスブタが出す小便をバケツで受け止めていただくんです」
律儀に手を上げて質問した真穂に、露木はさも当然のような顔で変態じみた答えを返した。
「え、えぇっ!? え、えっと……え……?」
「わ、私がやります!」
露木が何を言っているのか理解できず、すっかりフリーズしてしまった真穂を制するように雅文が叫ぶ。
こんなおぞましい行為を娘にさせるなど、絶対に許すわけにはいかなかった。いかに迷惑をかけっ放しの情けない父親であっても、せめてそのくらいの意地は保っていたいと思った。
「ぱ、パパ……」
「こんなことになったのは、全部俺の責任なんだ……だから真穂は、そこにいてくれ……」
「ふふ、そうですよねえ。全てはあなたの責任なんですものねえ。では、今回はお父様の方にお願いするとしましょうか」
苦渋の表情で真穂に語りかける雅文を楽しそうに見やると、露木は掃除用のバケツを持ってこさせ、咲野子の横に控えさせた。
「あ、あの……本当に……本当に、ここでするんですか?」
机の上で大股を開いた咲野子が、恐怖と恥ずかしさがないまぜになった顔で尋ねる。
「もちろん」
言外に含まれた陳情をさらりとはねつけると、露木は咲野子の真正面、ベストポジションにどっかりとあぐらをかいて座った。
「ほら、さっさと済ませちまえよ。早いとこ垂れ流せば楽になるぜ。何なら手伝おうか?」
やや硬めの縮れ毛に隠された尿道口を穴が拡がるほどじっと凝視しながら、野次でも飛ばすように咲野子を冷やかしてその時を待つ。
「う、うぅっ……」
いよいよ限界が近づいてきたのか、咲野子が下腹部に押し寄せる尿意をごまかすように腰をくねらせ始めた。
「お、エロい動き。でもそんなんでどこまでもつかな、ひひ、うひひ」
加虐心まるだしの声で笑いながら、露木は面白い出しものでも見るように咲野子のあがきをのんびりと楽しむ。
「やめて……もうやめて……」
あまりの陰惨さに耐えかねたのか、真穂はとうとう泣き出してしまった。
(さ、咲野子、こらえてくれ……頼む、どうかこらえてくれ……)
雅文はバケツの縁を固く握ったまま、ぎりっと音が出るほど強く歯ぎしりをした。
咲野子に耐えてほしいのは尿意か、それとも屈辱か。もはや自分でも正確に判別することができなかった。
「んっ!」
咲野子が不意に、がくんと頭をのけぞらせた。
「う、あぁ……」
こぼれ落ちるような艶めかしい吐息と併せて、股間から噴き出した尿がバケツにぼたぼたと太鼓のような音を鳴らす。
「あ、あぁ…ぁあ、あ……」
つんと鼻を突くアンモニア臭を醸した聖水が、黄金の架け橋を描きながら恥辱の水たまりを作った。
「ひっひ、出てる出てる。小便小僧ならぬ小便生徒会長だな、これは」
露木はどす黒い興奮まる出しで、眼前のスペクタクルを最後まできっちり鑑賞。終了後には喝采の拍手をぱちぱちと咲野子に浴びせた。
「いやあ、いいもん見たなあ。学園のアイドルであらせられる生徒会長様はションベンをする姿までお美しいのでございますってか。はっは、すげえすげえ」
「う、う、うぅ……」
嘲笑を受けた咲野子が、排尿後の寒気と屈辱感にぷるぷると身体を震わせながら呻く。
「嫌だよ、こんなの……ママが……可哀想だよ……」
「……」
大粒の涙を流してしゃくり上げる真穂を尻目に、雅文は言葉なくバケツを持ってトイレへと向かった。今の自分には、他にできることなど何一つとしてない。その事実がただ情けなく、悔しく、惨めだった。
「ひっひ! ションベンくせー女だな、おい! お、また濡れてるじゃねーか! もしかして人前でお漏らしして興奮しちまったか? あぁ!?」
「あ、あぁあっ!」
排泄物の後始末をする雅文の背後から、またも妻にペニスを突き立てる露木の声と、それに応じる咲野子の嬌声が飛び込んできた。
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