「……んっ」
「おお、つながったつながった」
小声で喘ぐ希恵子をよそに、黛はスープでも混ぜるような動きでゆらゆらと腰を回した。
すぐに、会話が始まる。
「ああ、もしもし。和臣くんかい?」
「!」
黛の発した一言に、希恵子の顔がさーっと青くなった。
「いや、最近あの店に顔を出してないとマスターから聞いてね。何かあったのではと心配してかけてみたんだよ」
「おお、そうかい。ならいいんだが。で、どうかね? その後、調子は」
「なーに、気にすることはない。友人として当たり前のことをしたまでだよ。返済の方も焦る必要はない。まずは少しずつでも金を貯めること。話はそれからだ」
「それよりどうだい? 今晩、いつもの店で。マスターに顔を見せがてら、久々に」
「ふむ……残業が悪いとは言わんが、時には気分転換も必要じゃないのか? 前にも話したが思い詰めてもいいことは何もないぞ。今日は一つ私の顔を立てると思って、早めに切り上げてみてはどうかね?」
「いやいや、余計な遠慮や気兼ねなど無用。これも、いつも言っていることだな」
時に親身に、時に諭すような声で和臣に語りかけながら、黛は音の出ないぎりぎりの速さと強さを保ったまま、丁寧な抽送を続ける。
(う、うぅ……)
落ち着いた動きとは裏腹に、膣の中でむくむくと凶暴に大きさを増していく黛のペニスが、おぞましいほどの嫌悪感を希恵子に与えた。
「ああ、そうだな。それがいい。では夜に、いつもの店のいつもの席で。会えるのを楽しみにしてるよ」
通話を切ると、黛はスマホを無造作にぽいとベッドへ投げ捨てる。
スプリングで跳ねた機体が小さくバウンドして、滑るように枕の傍へ落ち着いた。
「いやいや、実に楽しい会話でした」
含むような笑みを浮かべながら、黛が希恵子の背中や尻をすりすりと撫で回す。
「私が奥さんにアレを突っ込みながら話をしているなんて、和臣くんには想像もできなかったことでしょう」
「な、何て……何てことを……」
背後の黛に、希恵子が最大級の憤怒に満ちた眼差しを向けた。
まだ、心臓がドキドキしている。
もし、和臣が何か不審に思いでもしたら。
そう考えただけでも、希恵子の胸は不安と恐怖で潰れそうになった。
「ふふ、まあ奥さんの気持ちも分からないではありませんが、それは多分杞憂でしょうな」
希恵子とは対照的に自信たっぷりの様子で、黛が言う。
「和臣くんが奥さんを疑うなんてことは、まず有り得ません。それにこう見えて、私も彼とは結構深い信頼関係を築いてますんでね。この程度なら何の問題もないと思いますよ」
「ど、どの口で、そんな……」
希恵子は思わず吐き捨てた。あの人のいい和臣をこんな風に騙しておいて、それで一体何の信頼関係だというのか。
「いやあ、それにしてもなかなかにいい体験でした。改めて思い返しても興奮します。ほら、この通り」
黛が、下腹部の筋肉だけで一物を反らすようにぐいっと持ち上げてみせた。
「んっ……」
生き物のように体内を這う熱い塊の感触に、希恵子は顔をしかめて目を斜に背ける。
「ふふ。またたっぷりと出そうですよ、次の一発は」
独り言のように呟くと、黛が希恵子を押し潰すように上から覆いかぶさった。
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