NTR文芸館

寝取られ・寝取り・寝取らせなどをテーマに官能小説を書いています

TOP  > 

愛のすきまで交わって・63


          *   *   *

「どうしよう……」
 オフィスでは、和臣がまずいインスタントコーヒーをすすりながら、困り切った様子で頭を抱えていた。
「その、結婚記念日なんだけど、今年は、急に出張が入っちゃって……」
「……え?」
 昨晩希恵子に事情を説明したところ、まず返ってきたのはそんな一言。
「そ、そう。お仕事だし、仕方ない、わよね」
 口ではそう言ったものの、どう見ても落胆の色はありありだった。
 今朝和臣が家を出る時もぼんやりして、どこか上の空。いつもなら必ず玄関で直接手渡してくれる弁当を台所に置き忘れてしまう始末だ。
「でも、本当に仕方ないんだよな……」
 ぽつりと、和臣がこぼす。
 希恵子の心情は痛いほど分かるが、仕事である以上出張はやむを得なかった。当日は一人にしてしまうが、それはどうにか我慢してもらうしかないだろう。
「だけど……」
 和臣としても、出かける前に何かしておきたいところではあった。
 こんな自分についてきてくれて一生懸命尽くしてくれる妻に、何とかして、ほんの少しでも喜んでもらいたいとは、素直に思った。
「うーん……」
 あごに手を当て、目を閉じる。
「やっぱり、黛さんかなあ」
 真っ先に口をついた案は、完全な他力本願。まぶたの裏に、いかにもエネルギーの塊という感じの、色黒で精悍な顔が浮かんでくる。
「何だかいつも相談してばかりだけど……」
 情けなく苦笑しながら、和臣は黛との過去にゆっくりと思いを馳せた。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/02/02 11:47 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・62


          *   *   *

「ふ、ふっ、ふっ、ふん!」
「あ、んんっ、ああぁっ!」
「はは、どうやら奥さんの穴、すっかり私の形に変わってしまったようですね。フィット感がますます増してきましたよ、最近」
「う、んんっ! そんな、そんなこと、は、あああぁっ!」
 濡れそぼつ希恵子の女陰に、黛がいきり立つ肉棒を突き込んでいる。
 それ自体はいつもの光景だが、今日は身体の絡ませ方がちょっと複雑であった。
 ベッドに背中をつけて腰から身体を折りたたむように足を上げる、いわゆるまんぐり返しの状態で性器を剥き出しにする希恵子の太股に後ろ向きでまたがりながら、黛がスクワットでもするように上から下への抽送を続けている。
「奥さん、身体は柔らかい方ですよね?」
 始まりは、黛のそんな質問から。
「え、ええ。まあ、人並みには……」
「そうですか。ではこれからしばらくは、できるだけ多くの体位を制覇する、というテーマに挑戦してみるとしましょう」
 戸惑う希恵子にさらりと言い放った黛が記念すべき一回目のチャレンジとして選んだのが、このアクロバティックな体位であった。
「ふ、ふっ、ふぅっ、ふしゅっ!」
「ん、んん、んっ……」
 全身を押し潰すような黛の圧力をまともに受けながら、希恵子が詰まった声で呻く。
「では、とりあえず一発」
 苦しそうな希恵子に構わずそう呟くと、黛は屈伸のペースを上げた。
「ふっふっふっふっ、ふっ、ふぅっ!」
 ねじ伏せるような立て続けのスクワットから放出までを、一連の動作でスムーズにつなぐ。
「ふんっ!」
「あ、あぁ……ぁ」
 注ぎ込まれた黛の精子が、希恵子の胎内をたっぷりと満たした。
「よっこら、しょっと」
 さすがに少し疲れたのか、黛は珍しく年齢相応の中年臭い声をあげると、仰向けでベッドにごろんと寝転がる。
「ふう……」
 一服してから、ちらりと希恵子を見やった。
「どうしました? 今日はあまり乗りがよくないですね、奥さん」
 落ち着きのある低い声で問いかける。
「別に……いつも通りです」
 身体を起こし、両膝を揃えて寝かせるように座り直しながら、希恵子がそっけなく応じた。
「ほう、そうですか? 心ここにあらずというか、もう一つ集中できてない感じでしたが」
「そんなことは……ないです」
 さらなる黛の追及にそう言い返したきり、希恵子は黙ってうつむき、目を背けてしまう。
「……ふむ」
 普段とは明らかに様子が違う希恵子の姿を、黛は探りを入れるような目でじっと見つめた。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/02/01 11:48 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・61

「いっそ、全部話しちゃおうかしら」
 何の気なしにこぼした自身の言葉を、
「……」
 希恵子は少しの間、じっと吟味してみる。
 それは、あながち悪くない考えのような気がした。 
 お互い全てをぶちまけて謝り、何もかもリセットしてから、また二人でこつこつ、出会った頃のような気持ちでやり直す。
 できることなら、それが一番いいようにも思えた。
(でも……)
 すぐに、ブレーキがかかる。
 ここで断ってしまえば、これまで積み重ねてきた我慢の全てが一瞬で灰に変わってしまうというのも、また現実。
 第一、この状況は未来永劫ずっと続くわけではない。
 たった、三ヶ月。
 初めて黛に身体を許した翌日、希恵子は自分でそう考えたのだ。
 そしてその期間はもう折り返し地点を過ぎ、あとは終わりに向けて一直線というところまで進んでいる。
 今さら全部投げ出す道を選択するには、希恵子はあまりに時間と労力を割きすぎ、あまりに奥深くへ入り込み過ぎてしまった。
 ――やはり、もう引き返すことなど、できない。
「……あ」
 そう結論づけたところで、希恵子はほんの数分とはいえ、自分がすっかり立ち止まっていたことに思い至る。
 自分の心情がどうあれ、黛から呼び出されている以上、今はとにかくホテルに向かわないといけなかった。
「……行かなきゃ」
 希恵子が歩き出し、玄関に立つ。
「あ、いけない」
 はっと、気づいた。
「これはここ、と」
 左手薬指の指輪を外して靴箱の上にそっと置くと、希恵子はあたふたドアを閉め、急ぎ足で黛の元へと駆けていった。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/01/31 11:32 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・60

「何で……こんなことに……」
 埃一つないフローリングをぼんやりと見つめながら、希恵子が呟く。
 初めて黛と会ったあの日、全てを断っていれば事態は全然違っていたのだろうか。
 いや、それを言うなら、そもそも誰かさんが借金なんてしなければ――。
「っ……」
 思わず夫への不満をこぼしそうになり、希恵子は慌てて口をつぐんだ。
『妻には僕のせいで苦労ばかりかけてますから、少しでも家計を楽にできればと……』
 レコーダーから流れた和臣の涙声は、間違いなく本物。そしてそこから発せられた内容は、
まぎれもない夫の、本心。
 和臣は決して、私利私欲に目が眩んだわけではないだろう。家計を、そして希恵子のことを少しでも楽にしたい一心で、慣れない投資などに手を染めたに違いない。
 愚痴をこぼすことこそなかったが、和臣が自身の収入の少なさをずっと気に病んでいたのは希恵子もよく知っている。
「そう、よね……」
 重要なのは、和臣が自分のためを思ってくれたその心。
 失策を犯したからといって夫を足蹴にする真似など、希恵子にはできるはずもなかった。
「でも……」
 希恵子がまた、カレンダーを見つめる。
 だからといって、これ以上黛との情事を続けるのも許されない気がした。
 倫理とかモラルとかそういった問題だけではなく、もっと心の奥深くの、いわば本能に近い部分で、自分の中の何かが揺らいでいるように思えた。
 いくら心の中で和臣への操を守っているとはいっても、現実として身体の方は肉欲をまるで制御できていない。
『どうせ、ばれることはないだろうし……』
 結果として和臣からの電話に救われる形になったが、あの時ほんの一瞬、黛に身を委ねてもいいと思ってしまったのは、偽りない事実であった。
(あんな、人……)
 希恵子の中で、黛への認識は何も変わっていない。
「不快な酷い人」
 その評価は、初対面から今日に至るまでずっと一貫していた。
 それなのに、黛を相手にすると希恵子の肉体はまるで別人のように過敏な反応をみせる。
 どれだけ黛に悪意を持って臨んでみても、抱かれれば必ず感じてしまうのだ。
 今となってはもはや記憶すらおぼろげだが、和臣とのセックスでこうも身体が疼いたことはただの一度もなかった。
 黛と交わり、肉の悦びを感じれば感じるほどに、和臣への罪悪感は増す。
 そして背徳の心理が深まれば深まるほど、その快感はよりいっそうの重みをもって希恵子の全身に巣食っていった。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/01/30 11:48 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・59

          3

「少し、遅れるかしら」
 一日分の家事を終え、最低限の身繕いを済ませた希恵子が出かける準備をしていた。
 もう何度目になるかも分からない、黛との逢瀬。
 そのたびに繰り返されてきた所作を淡々と、しかしできるだけ急いでこなしていく。
 だが今日に限って、希恵子は妙な違和感を覚えた。普段は目につかないものが、急に視界の隅をよぎる。
「?」
 ぐるりと周囲を見回して、異物の正体を突き止めにかかった。
「……あ」
 答えは、壁にかけられたカレンダー。
 ある一日に花丸で印がつけられ、その下の空白には希恵子の字で「結婚記念日」と記されていた。その前日には「和臣さん出張」の文字が新たに追加されており、語尾から伸びた矢印は結婚記念日をまたいで翌日まで続いている。
 結婚記念日は前々から書いておいたものだが、出張の方は昨日書き足したばかり。見慣れずつい目に留めてしまったのだろう。
 希恵子は恨めしそうに、「出張」の二文字と矢印を睨んだ。
「はあ……」
 右手で左ひじをつかんで、目線を斜め下に逸らしながら、昨日から飽きるほどついたはずのため息をまた一つ吐く。
 最近は、何をしてもこんな調子だった。
 あの夜の誘いを断って以来、和臣との距離もどことなく遠い。気まずくて顔を合わせられず、疲れたとか眠いとか嘘をついて早めに寝てしまうことが多くなっていた。
「どうしたの? 希恵子さん。もしかして、体調でも悪い?」
 鈍いなりに何かを感じ取ったのか、和臣は何度もそう言って希恵子を気遣ってくれた。
 だがそれはありがたい反面、逆効果でもある。
「……ううん、大丈夫」
 夫が見せる裏表のない優しさに毎回同じ作り笑顔でそう返すたび、希恵子の心は岩のようにずっしりと重たくなっていった。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/01/29 11:32 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)

愛のすきまで交わって・58


          *   *   *

 翌日、希恵子は黛から緊急の呼び出しを受けた。
「ふむ、高さはこんなものですかね」
 いつもと変わらぬ、ホテルの一室。
 そのベッドの上では、布団や枕を寄せ集めるようにして作られた小山が、素っ裸でどっかりもたれかかる黛の背を柔らかに支えていた。
「……」
 傍に寄り添っているのは、服をまくり上げられ、ブラをずらされた希恵子。
 ちょうど赤子に母乳を与えるような前屈みの体勢で、黛に乳房をさらけ出している。
「よっと」
 黛の唇が、希恵子の左乳首を迎えに出た。
「んっ、んんっ……」
 ちゅっちゅと音を立てて吸われるうちに、希恵子の口から甘い吐息が漏れ始める。
「で、どうでした? 昨晩、和臣くんとは」
 左胸をむしゃぶり尽くした黛が、飽き足りないように右の乳もぐいと引き寄せた。
「どうってそんな、何もできるわけ……んっ、あ、あぁっ!」
 両乳首をいっぺんに舐め回されると、怒りをぶちまけようとしていたはずの希恵子の声音があっさり艶めかしいものに変貌する。
「ん……ぶじゅっ……ぷはっ。さあ、そちらも」
「は……はい」
 黛が下腹部にあごをしゃくると、希恵子の右腕がおずおずとそちらに伸びた。
「っ……ぅ……」
 熱くて猛々しい剛直を、小さく柔らかな手がゆっくりと上下にしごく。
「おほ、いいですね。この少しがさついた生活感のある感触が、また何とも」
「……」
 相変わらず微妙に無礼な物言いで神経を逆撫でしてくる黛を、希恵子はちらりと一瞥した。
(この、人は……)
 希恵子はもう、全てを悟っていた。
 剃毛した上にキスマークを付けられた理由も、黛と飲むと言っていたはずの和臣が、やけに早い時間に帰宅して突然自分を求めてきた「話の流れ」も。
 何もかも、黛の計算通り。
 そんなもの、全てが屈辱としか言いようがなかった。
 だがそれでも、自分にはこの男の掌で踊り続けるより他に、道はない。
「本当に……酷い、人」
 ぽつりと落とすように呟くと、希恵子は黛のペニスを握る手に少しだけ力をこめる。
「……ふふ」
 細くしなやかな指の感触を存分に味わいながら、黛は口の端を歪め、薄い笑みを浮かべた。


※全文をまとめ読みしたい方はこちらから!

[ 2018/01/28 11:40 ] 長編NTR 愛のすきまで交わって | TB(-) | CM(0)