「あのね、ぼくね、みはるおねーちゃんのこと、だーいすき!」
「ありがとう。お姉ちゃんも隼人くんのこと、大好きだよ」
* * *
「ああ、そう言えば聞いたでしょ? あんたんちのお隣、美晴ちゃんの話」
「はい?」
それは、菅野隼人(すがのはやと)が高校からの帰り道、三軒隣に住む今井さんという噂話大好きおばさんにつかまり、立ち話の相手をさせられていた時のこと。
「あれよ、あれ。美晴ちゃん、もうすぐ結婚するって」
「は、はい!?」
「あら、知らなかったの?」
「は、はい……その、どういう、ことですか?」
「ええ、それがね――」
愕然とする隼人をよそに、今井さんは熱のこもった調子でことの経緯を語り始めた。
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